「ウェブトゥーンのメリットでもあり、デメリットでもあのが、リアルタイムでずっと読者とコミュニケーションが図れる点です。WEBで公開されると、直ぐにコメント欄に読者から感想が寄せられます。読者の反応を見ながら作家が話の流れを調整していける一方、厳しいコメントなどはストレスになるので、メンタル面のサポートも重視されています。また、1人の作家に対して6人ほどのアシスタントを雇って作家への負担を減らすなど、労働環境のケアにも手厚いです」(柳特任准教授)
 
 韓国におけるウェブトゥーン市場は急成長しており、17年の産業規模が3799億ウォン、18年は4463億ウォン、19年は6400億ウォンで、年平均37%の成長率。20年時点でウェブトゥーンのプラットフォームだけで31社、その関連会社は217社あると報告されている(「2020ウェブトゥーン事業体実態調査」(韓国コンテンツ振興院、2020年12月22日調べ)。

「韓国でウェブトゥーンが人気を集める理由の一つに、“スナックカルチャー″つまり、スナック菓子のようにサクッと簡単に楽しめる文化として受け入れられていることにあります。1話約10分で読み終わるので、通勤時、仕事の休憩時間、寝る前などに手軽に見られます。短いコンテンツの中でも十分に楽しめるような内容で構成されています」(柳特任准教授)

 ウェブトゥーンが発展する背景には、出版事情の悪化があったようだ。

「90年代後半から、韓国では出版市場の中でも漫画分野が崩れ始め、市場自体が小さくなっていきました。このままでは描く場を失ってしまうと危惧した作家たちが、新しい活躍の場としてWEBに移ったとされています」(柳特任准教授)

 日本のプラットフォーム「ピッコマ」ビジネス戦略室長の杉山由紀子さんによると、日本におけるウェブトゥーンの読者層は、熱心な漫画好きというよりも、気軽にコンテンツを楽しみたいライトユーザーが多いという。

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日本人のウェブトゥーン作家も増加中