日本では、主に「comico」(13年)、「LINEマンガ」(14年)、「ピッコマ」(16年)でサービスが展開されている。

「韓国漫画の日本語翻訳は1990年代末にもありましたが、ウェブトゥーンを日本語に翻訳した作品は2000年代に入ってからです。当時、日本では、ウェブトゥーンというサービスがなかったため、紙の単行本として10年に『僕たちヒョレッキョン! ~血液型に関する簡単な考察~』(Real Crazy Man著)が出版され、この作品が深夜アニメとして放映されたこともありました」(李センター長)

 韓国は現在、ウェブトゥーン作家の育成に力を注いでいる。2017年、国と広域市の出資により、釜山広域市に「釜山グローバルウェブトゥーンセンター」を開設。同センターを視察した北九州市立大学の柳永珍(リュ・ヨンジン)特任准教授が解説する。

「視察当時には、ウェブトゥーンの楽しさや作家になる方法を教える『一般人教育事業』と、アマチュアで活動している作家をコーチングする『予備作家教育事業』の2つの事業が行われていました。予備作家教育事業の場合、オーディションで選ばれた受講生が5人1組のチームになり、それぞれのチームにプロ作家がメンターとして指導に入ります。約8週間で1話分のウェブトゥーンを作成してプロジェクトは終了、という流れでした」
 
 また、同センターへの入居を希望する新人作家には、作業室が提供される。プロ作家の作業室も併設されているので、アドバイスを受けやすい環境にあるようだ。

「同センターの特徴は、入居している30~40代の若手作家が自主的に運営しており、それに対して市が予算を投じる点。トップダウンではなく、作家主体の運営方針です」(柳特任准教授)

 作家に対する市の支援は手厚く、作業室の他、徹夜する作家向けの仮眠室、アシスタントや翻訳家を雇う費用、税や著作権など法律関連の指導も施される。連載が終わった作家に対しては、次の作品までの空白期間に月200万ウォンを6カ月間支援する取り組みもある。さらに、メンタルケアも含まれているという。

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