内務省によると、ロックダウンの最初の日に警察は約10万人をチェックし、その中の7百人以上から罰金をとったそうだ。

 他の日はオレンジ色の日で店は開いているが、レストランやバーがまだ閉まっており、テイクアウトだけは大丈夫。自分が居住する街の中には移動しても大丈夫だが、夜10時から朝の5時まで外出禁止。門限は厳守だ。

 12月半ばにその政策が宣言された後、迫るロックダウンの寂しさを少しだけ軽くするためにイタリア人は準備した。

 クリスマスツリーの下にプレゼントがないとクリマスじゃないと思う多くの人は、慌てて買い物をした。マスクをかけた大勢の人は順番に店に入り、ローマやミラノなどの商業地区はショッピング好きな人で溢れていた。

 イタリア商業者協会と農業協会によると、食べ物のテークアウトや配達に依頼にした人が増えた一方、去年と比べるとクリスマス消費は20%も減ったという。パーティーに参加する人数も減ったので、食品の消費もふるわなかった。親戚と友達に会えず、クリスマスの飾りとプレゼントを買わなかった人が多かったという。

 24日にロックダウンが始まってから、街は沈黙してしまった。人と話すと、1人~3人でクリスマスを過ごした家族も多く、最多でもゲストは2人。テレビで放送される映像を見ると、普段は賑やかなナポリやローマはゴーストタウンに見えた。大勢のイタリア人が今年はいつもの暖かくて、気楽な祝いは無理だと観念しているそうだ。

 フェイスブックでも新しいトレンドが流行り始めた。コロナで亡くなった両親、親戚がいる家族は、その人の席を空けたまま残し、次々と誰も座っていない椅子の写真がソーシャルメディアに投稿された。一人の女性はコロナ感染によって亡くなった父にメッセージを捧げた。

「この苦い2020年と同じく、あなたがいない最初のクリスマスも苦い…お父さん、あなたを愛情している人の心のように、あなたが座っていた椅子も空っぽ…」

 イタリア政府によると、市民の接種は180万回分が届く1月15日以降になるという。

(ICIJジャーナリスト/シッラ・アレッチ)

※週刊朝日オンライン限定記事