ロックダウンで人がいなくなったローマ市内のカンポ・デイ・フィオーリ広場(撮影/ルカ・コルテレシ)
ロックダウンで人がいなくなったローマ市内のカンポ・デイ・フィオーリ広場(撮影/ルカ・コルテレシ)

 欧州連合(EU)各国でワクチン接種が一斉に始まった12月27日は、「Vaccine Day」(ワクチンの日)として後世で知られるようになるだろう。
 
 欧州最多の7万1千人の死者が出ているイタリアーー。ローマ市内のスパランツァーニ病院にベルギーから出発した米製薬大手ファイザー社のワクチンを積んだ特別なトラックが到着し、看護師が最初に接種を受けたのだ。

「長い夜の後に、やっと光のきらめきが見える」

 緊急対策特別本部長のドメニコ・アルクーリ氏はワクチンの到着をこう歓迎した。

「夜明けまでの道は長いが、これからヨーロッパで開始するワクチンの接種が非常に大事だ」(同前)。

 2020年のクリスマス、21年の新年はイタリア人にとってほろ苦い思い出として記憶に残るだろう。クリスマスはパネットーネやトッローネを食べたり、ゲームをしたりしながら多くの親戚や友達と一緒に12月24日の夜と25日の昼を過ごすことが伝統的だが、コロナの大流行がこの古い習慣を一気に変えた。

 イタリアの感染者数は最近、減少傾向にあるが、平均で1日1万人以上の新規感染者が報告されている。

 特に、高齢者は新型コロナウイルスによる合併症のリスクがあり、大きなクリスマスパーティーは危ないと思われ、政府は警告を促した。

「高齢者を守ってください!当たり前のようですが、集まる人数が増えるほどリスクは大きくなります」

保健省のジョヴァンニ・レッザ対策室長が忠告したのだ。

 感染を収めるため、イタリア政府が来年の1月6日までロックダウン(都市閉鎖)政策を決めた。そしてイタリア人のクリスマス、新年の休暇を赤とオレンジ色で染めた。

 12月24日から27日まで、12月31日から2021年1月3日まで、そして1月5日と6日は赤の日で、両親と親戚しか訪問できない。集まる人数も限られている。

 レストラン、店、バーなどは閉まっていて、スーパーや薬局しか開いていない。仕事や健康理由がある人たちだけ移動はできて、移動する際、自己申告用紙を持っていくのが義務的だ。警察に職務質問されたら、紙を見せて、移動の理由をちゃんと説明しないと、400ユーロ(約5万円)から 千ユーロ(約12万5千円)までの罰金もあり得る。

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ロックダウン破りは5万円の罰金