「ペンションメッツァ」の脚本・監督を務めた松本佳奈さんほかスタッフは、これまでにも小林さん主演で、WOWOWで「連続ドラマW パンとスープとネコ日和」や「ドラマW 山のトムさん」などの作品を手がけている。そこに登場するのはいつも、“世間の物差しにとらわれず、自然体で生きようとする人々”だ。

「ご縁があって、確かにそういう役をいただくことは多いですが、人は、どんなに生きても完成がないわけで……。ずっと“自分らしいって何かな?”と、模索し続けているわけじゃないですか。“自然体”が具体的にどういうことを指すのかは私にはよくわかりませんが、常に、何かを模索し試しながら生きていく。それはある意味、人間らしいのかなとは思いますね」

(菊地陽子 構成/長沢明)

小林聡美(こばやし・さとみ)/1965年生まれ。東京都出身。82年、大林宣彦監督の映画「転校生」で初主演。ドラマや映画、舞台で活躍する一方、著書も多数出版。最新刊は『聡乃学習』(幻冬舎)。映画の主な出演作に「かもめ食堂」(2006年)、「めがね」(07年)、「プール」(09年)、「マザーウォーター」(10年)、「東京オアシス」(11年)、「紙の月」(14年)など。21年3月、出演映画「騙し絵の牙」が公開予定。

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週刊朝日  2021年1月1‐8日合併号より抜粋