最近はロボット葬儀や直葬も… (GettyImages)
最近はロボット葬儀や直葬も… (GettyImages)
終活を支えるサービス一覧 (週刊朝日2021年1月1-8日号より)
終活を支えるサービス一覧 (週刊朝日2021年1月1-8日号より)

 人生100年時代の最後は誰しも「おひとりさま」になる可能性は高い。独身の人だけでなく、夫や妻と離婚、死別したり……。家族がいても頼れる人はやがて少なくなる。最近は終活を支援するサービスが広がり、もしもに備え、「自分じまい」を準備する人が増えている。

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「病院に送ってくれたり、入院の手続きもしてくれたり、必要な物があったら、自宅から取ってきてくれる。一人だったら、どうなっていたか……」

 都内在住の70代の男性はこう振り返る。男性は2年前、持病の脊柱管狭窄症が悪化し、歩けなくなった。自宅から、かかりつけの病院まで交通の便もよくない。そこで頼ったのが、終活をサポートするNPO法人「きずなの会」(名古屋市)。

 同会は、病院や介護施設、アパートなどに入る際に求められる身元保証人を引き受けるほか、入院や入居の手続き、身の回りの世話などもしてくれる。亡くなった後にも、訃報の連絡や葬儀、納骨、死亡届の提出や公共料金の解約手続きなどを肩代わりする。

 男性が入会したのは、それ以前に、別の病気で入院したのがきっかけだったという。

「退院後に相談に行った区の地域包括支援センターで紹介されました。両親はすでに他界し、兄は体調を崩しているし、弟とは疎遠。ずっと独身で、妻も子どももいないので、何かあった時に頼れる人がいない。きずなの会は、お墓のことや遺品の片づけも任せられるので助かります」

 男性のように、不安を抱える人は多い。2019年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の人がいる世帯のうち、28.8%が単身世帯で、これまでで最も多くなった。国立社会保障・人口問題研究所によれば、65歳以上の一人暮らし世帯は15年の625万世帯から40年に1.4倍の896万世帯に増える予測だ。「もしもの時に頼れる人がいない」という人が、今後はもっと増える。

 そこで、生前のうちに終末期の身の回りの世話や、亡くなった後の葬儀や墓、相続などに自ら備える終活をサポートする取り組みが注目され、問い合わせが急増しているという。きずなの会の長谷川賀規・東京事務所長は、こう話す。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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