ISLから日本選手権と試合が続き、トレーニングが十分に積めていなかったので、今回の準高地合宿では陸上トレーニングもしっかり取り入れています。食事がおいしいこともあって、この2週間で選手の体がどんどんできあがってきています。鍛錬期なので練習記録はまだ上がってきていませんが、レースを何本も重ねてきたのでいい泳ぎを維持できています。

 今回は、いわゆる定番練習をほとんどやっていません。目の前で答えがはっきりわかる練習ではなく、答えはもっとずっと先に出てくる、長い方程式を作っているような感じです。練習メニューを作るときに、どんどんイマジネーションがわいてきます。選手もそれをよく理解してくれて、相互理解のもと前に進んでいる実感があります。こういう感覚は久しぶりです。

 いい答えが出るかどうかわかりませんが、去年のトレーニングの焼き直しではなく、1年延びた五輪に向けて違ったアプローチができている。ISLに行ってよかったと思います。
(構成/本誌・堀井正明)

平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる──勝負できる人材をつくる50の法則』(朝日新聞出版)など著書多数

週刊朝日  2021年1月1‐8日合併号

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平井伯昌

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平井伯昌(ひらい・のりまさ)/東京五輪競泳日本代表ヘッドコーチ。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる』(小社刊)など著書多数

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