志村けんさん (c)朝日新聞社
志村けんさん (c)朝日新聞社
高木ブーさん (c)朝日新聞社
高木ブーさん (c)朝日新聞社

 志村けんさんの死から数日後に放送された追悼特番で、ゲスト出演した高木ブーさんが発した「志村は死なないの。ずっと生きている」という言葉は、視聴者の胸を打った。高木さんは語る。

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「志村と何カ月も会わないことは珍しくありませんでしたし、結局誰もお別れはできませんでした。あの時、志村は生きていると言いましたが、志村がいないという実感は、今もないんです」

 志村さんが、荒井注さんの脱退を受け、ザ・ドリフターズに加入したのは1974年。

「人気が出るまで少し時間がかかったけれど、経験ないからそれは当たり前ですよね。ただ、荒井さんの魅力とはまた違う、新しい空気は感じました」

 高木さんの記憶によると、志村さんと最後に酒を飲んだのは2015年、志村さんの母が亡くなったときだった。

「『高木さん、ありがとうね』ってね。僕も志村も、お互いおしゃべりなほうじゃないから、交わす言葉は多くないけれど、一緒に飲みました。ある時、『となりのシムラ』(NHK)に、『高木さんに出てほしいんだ』と突然言われた。僕には何度か声がかかって。僕が楽な存在だったのかな(笑)」

 荒井さん、いかりや長介さんに続きドリフ3人目のメンバーが旅立った。

「本当なら僕が行く順番なのにね。志村に聞いてみたいのは、死ぬ間際、ドリフのことが頭に浮かんだかなというところ。そうだとしたら、やっぱりうれしいですね」

 ドリフのメンバーを題材にした絵を描き続けている高木さん。最近描いた絵の中の志村さんといかりやさんの頭上には、天使の輪が輝いている。

「絵の中なら『全員集合』できますからね。もしみんなずっと元気でいたら、本物の『老人コント』ができたかもしれない。母ちゃんコントや学校コントも、年をとってやったらどんなふうになっていたか。それはちょっと見てみたかったけれど、かなわないから絵で描くのもいいかもしれない」

 高木さんは続けた。

「あの世にも、お笑いがあるといいね。残った3人、まだまだがんばっていきます」

(本誌・太田サトル)

週刊朝日  2021年1月1‐8日合併号