ルメール騎手とアーモンドアイ(C)朝日新聞社
ルメール騎手とアーモンドアイ(C)朝日新聞社

 暮れの大一番、有馬記念(12月27日開催、中山競馬場・芝2500m)が迫ってきた。

 注目は、2年連続で天皇賞春を制覇したフィエールマンとクリストフ・ルメール騎手のコンビだろう。

 ルメールは11月29日のジャパンカップで有終の美を飾ったアーモンドアイなどの手綱を取り、今年はGIで8勝を挙げている(12月21日現在。以下同)。それに次ぐGI優勝者は、福永祐一と松山弘平の2人で3勝。それぞれ三冠馬(コントレイル、デアリングタクト)に騎乗しての勝利だ。ルメールは勝利数でも202勝でトップを走り、2位の川田将雅の165勝を圧倒している。

 あまりにも突出した成績で、ファンが「ルメール無双」と崇めているのも当然か。

 ルメールは本誌へ寄せたメッセージで、こう振り返ってみせた。

「(コロナ禍のため)ドバイ遠征で4週間騎乗できなかったことを除けば、勝利数とGIの結果から言っても素晴らしい年でした。騎乗停止や怪我もなく、1年を通して良い勝率をキープすることができました。私にとって大きな出来事は、アーモンドアイ、グランアレグリア、フィエールマンが最高の状態で走ることができたということです。彼らは私にとても重要な勝利をもたらしてくれました」

 競馬記者は成績はもちろんのこと、ヴィクトリアマイル(5月17日)と安田記念(6月7日)のレース後に見せた優しさに感動したという。

 ヴィクトリアマイルの開催時期は、コロナ禍のために追い切りに際しての東西の行き来が禁じられていた。関西所属のルメールは関東・国枝厩舎のアーモンドアイの追い切りに乗れなかった。

「代わりに乗ったのが、三浦皇成騎手。ルメールさんは優勝後のインタビューを、『コウセイ・ミウラに感謝したいです。すごく良い仕事をしてくれました。コウセイ・ミウラ、ありがとうございました』で締めたんです」(前出・競馬記者)

 一方の安田記念では、騎乗したアーモンドアイがグランアレグリアに完敗した。

「グランアレグリアに騎乗していた池添騎手の顔に、先行する馬が蹴った際にできた芝の塊が飛んできて当たりました。顔がかなり腫れ上がったんですが、ルメールさんが氷を用意してアイシングしてあげたんです。2着に終わって一番悔しい思いをしていたでしょうに」(同前)

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日本語で「心身ともに充実しています」