会見した「爆笑問題」太田光さん(撮影/秦正理)
会見した「爆笑問題」太田光さん(撮影/秦正理)

 お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光さん(55)が12月21日、新潮社との訴訟に勝訴した。

 母校の日本大学芸術学部に裏口入学していたとする「週刊新潮」の記事は事実ではなく、名誉棄損にあたるとして、新潮社に3300万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めていたが、東京地裁が下した判決は新潮社に対し、ネット記事の削除と損害賠償440万円の支払いというもの。勝訴した太田さんは判決後、都内のホテルで記者会見を開いた。

「名誉棄損に関する部分は全面的に認めていただいたと理解している」(松隈貴史弁護士)。その一方で、謝罪広告の掲載は認められなかった。

 おどけたポーズで会見場に登場した太田さんは、冒頭から太田節を炸裂させた。

「多目的トイレを利用してしまったことに関して一言お詫びしたい」

「昨日、私の事務所のウエストランドがM―1で何の痕跡も残せなかったこと、これもお詫びしたいと思います」

「私からは以上です」

 などとアンジャッシュ渡部建(48)や後輩芸人をいじって会見をスタートさせた。その後の質疑応答の中で、太田さんが強く訴えたのは「父への思い」だった。

「(裁判を起こしたのは)僕自身としては、親父への思いが一番強かった。親父は建築をやっていたんですが、若いときに会社を起こした。(父の名前の)三郎と僕の名前の光の名前からとって三光社。親父にとってその会社は宝物だったと思う。その会社名が入った名刺を記事内にドカンと載せて、いかにも親父がやくざとつながりがあって、ぺこぺこ頭を下げて裏口入学させたと…。親父しか知らないことだから、潔白だとは僕からは言えない。でも、(書かれていた内容が)あまりにもイメージとかけ離れていた。実際にしていたんだとしても尊敬は変わらないが、そのイメージを世間にまき散らしたのが許せない」

「生前、親孝行ができなかった自分としては、死んでからもさらに親父の名誉を傷つけたというのは、新潮社がというより僕自身が、申し訳ないというか……。その思いが新潮さんに届いていればいいなと思う」

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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新潮社が控訴、「最高裁まで戦う」と太田夫妻