コロナ禍の就活は心配もさらに多い。写真はイメージ(Getty Images)
コロナ禍の就活は心配もさらに多い。写真はイメージ(Getty Images)

 就職活動のお助けアプリとして支持を広げ、手軽に大学生とその卒業生を引き合わせる「就活マッチングアプリ」。顔写真やプロフィルを公開し、見知らぬ相手と一対一で会うという「出会い系アプリ」さながらのシステムは、“就活セクハラ”などの問題も引き起こしている。そんななか、SNS上で炎上しているアプリ「社長と晩ごはん」に接触を試みた。

「社長と晩ごはん」はその名のとおり、学生と企業経営者(人事決裁者)を引き合わせるアプリ。学生が名前や大学、興味のある業種などを登録し、経営者は気になった学生を“スカウト”して晩ごはんをごちそうするというものだ。

 OB・OGらを仲介するマッチングアプリとは異なり、経営者がいきなり登場する。食事の場を通じてリラックスして話ができ、有利な採用がめざせるという触れ込みだが、SNS上ではそのシステムがセクハラを助長し、「パパ活」の温床にもなりかねないと指摘が相次ぐ。

 先日のニュースでも、リクルート関連会社に勤めていた男が、就活マッチングアプリを使って出会った女子大生に睡眠薬を飲ませ、性的暴行におよび逮捕されたばかり。現役の女子大生たちはどう感じているのか?

「ご飯をおごる社長と、おごってもらう学生がフラットな関係ではないうえ、個室で会うことも考えられる。セクハラや性犯罪が起こりやすい環境をつくり出しているのではないでしょうか? アプリの紹介にあるような様々なメリットが学生と会社側の双方にあるとしても、近年起きているOB訪問での性被害の現状を鑑みていないと感じます」

 金沢大学のフェミニスト団体「Wanna Be ME」のメンバーの一人はこう話す。

 一方、ベンチャー企業などへの就職も考えているという関西の女子大生Aは違う意見だ。「ベンチャーや中小企業なら、社長と直接、食事会に行くなんて当たり前にある。前衛的なサービスだと思います」

 さらには、「パパ活」に興味を持つ関西の女子大学生Bからは次のような声も。

「変なサイトからパパ活をするよりも安全で、就活しているフリをしながらパパ活できそう。普通に登録したいです。ただ、就職志望の会社が登録されていたら、ちょっと複雑かも……」

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マッチングアプリを運営する担当者はなんと!