ネットオークションに出品される絵画の贋作 作家・黒川博行の妻の作品も被害 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ネットオークションに出品される絵画の贋作 作家・黒川博行の妻の作品も被害

連載「出たとこ勝負」

黒川博行週刊朝日#黒川博行
黒川博行・作家 (c)朝日新聞社

黒川博行・作家 (c)朝日新聞社

※写真はイメージです (GettyImages)

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 ギャンブル好きで知られる直木賞作家・黒川博行氏の連載『出たとこ勝負』。今回は、ネットオークションに出品された「よめはん」の絵の贋作について。

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 土曜日、テニスに行ったとき、仲間のSさんが「うちのよめさんの友だちが、クロちゃんの奥さんの絵を持ってるそうや」といった。

「へーえ、どこで買うたんかな」「ネットオークションで落札したらしいで」

 それで分かった。偽物だ。

 五年ほど前から、よめはんの絵の贋作がときどき、ネットオークションに出るようになった。ひと目で下手くそと分かる水彩の風景画や静物画に《黒川雅子作》とあり、ご丁寧に印章まで捺されている。はじめの値は千円とか二千円だが、複数の入札があると、四、五千円で落札されることが多かった。

 よめはんはそもそも風景画を描かない。水彩画も描かない。おまけに出品される絵はどうしようもなく稚拙で、よめはんにすればむちゃくちゃ迷惑だが、出品者に抗議するには、その絵を落札して出品者の住所氏名を知る必要がある。ばかげたことに時間をとられたくないから放置しているが、年に数作はよめはんの贋作が出品され、安値で落札されている(スマホカバーによめはんの描いた『嶋原太夫』の画像が盗用され、売られていたこともあった)。

 わたしはSさんに頼んで、奥さんの友だちが落札したとかいう絵と添え書きを見せてもらった。

 ひどい。地植えした福寿草五本を描いた十号ほどの日本画風の絵だが、デッサン論外、構図崩壊、暗く濁った色あいも驚くほどひどい。捺されている『雅』の印章は本物そっくりだった。

 添え書きを見た──。《作家名-黒川雅子 作品名-花 技法-日本画限定-原画 サイン-印あり 備考-外箱なし 略歴-大阪府出身 京都市立芸術大学美術学部日本画科卒業》とあり、ご丁寧に《真作保証いたします。真作でなかった場合は返品可。油彩、日本画等は本人直筆画を保証します》とあった。これはそうとうに悪意のある贋作だが、この出品者を懲らしめる手段はない。


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