親を捨て『家族じまい』する人たち 女優・青木さやかの場合【2020年ベスト20 12月3日】 (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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親を捨て『家族じまい』する人たち 女優・青木さやかの場合【2020年ベスト20 12月3日】

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12月5日から舞台「23階の笑い」に出演している青木さやかさん(撮影・松永卓也)

12月5日から舞台「23階の笑い」に出演している青木さやかさん(撮影・松永卓也)

 一方でこうも思う。

「ふと顔を上げて、鏡を覗き込むと、鏡には父にも似ているし、母にも似ている私が映っている」

 女優の青木さやかさん(47)は、昨年母親を見送った。二人は20年以上折り合いが悪かった。几帳面で厳しく、世間体を気にする母親。小さいころから褒められた記憶がなく、テストで85点でも「なぜ100点じゃないの」と言われた。

 お笑いの世界に入ったのも母親が嫌がる職業を選びたかったからだ。

 そんな母親とは、物理的にも精神的にも距離をとったこともある。

「ある意味、あれは『家族じまい』だったと言えるかもしれません。私にはその定義がよくわかりませんが。でも私にとって、家族じまいでは楽にはなれなかったんです」

 どこかで引っかかってしまったからだ。

「仲は悪くても、忘れきることができないんです」

 昨年母親がホスピスに入って、いよいよ終わりという状況になった。

「そのとき、犬と猫の保護活動のノウハウを教えてくれた恩人、武司さんという男性から言われたんです。『親と仲良くなると自分が楽になれるよ、最後のチャンスだよ』と」

 最初は半信半疑だったが、やってみた。病室でする何気ない会話も最初は「どんな仕事よりもハードなチャレンジだった」が頑張ってみた。できる限り、母がいる名古屋のホスピスまで足を運んだ。

「母のために、と思っていたらできなかったと思います。全部自分のためにやったことです。ふしぎなことに、母が亡くなるときはもう母のことは嫌いではなくなっていて、今は、どんどん好きになっているんです」

 母親も青木さんとわかり合ってから死にたいと望んでいたとわかった。母への否定的な思いがなくなったことで青木さんの人生が楽になった。

「私にとっては、親との関係性が人間関係の基本。親への思いが強くなればなるほど、人との関係性が良くなりました」

 冗談交じりに「今なら結婚もうまくいくかも」と話す(青木さんは2010年に長女を出産後、12年に離婚)。

「武司さんから、『死んでもできる親孝行があるよ』とも教わりました。それは私が母を送った後も楽しく笑って日々過ごす、ということです」


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