田原:立憲ってそんなに調整が難しいの?

枝野:いやいや、政治は「時間の関数」(時々刻々と変化する状況に合わせ正解も変化する)なので、タイミングと方法です。選挙で連携するのが目的ではなく、選挙で勝つのが目的ですから。

田原:とにかくなるべく早く連立政権を作ってほしい。そうしないと自民党の神経が緩んでいく一方でどうしようもない。

枝野:今その点について言及すると、関係各所に影響が出ますから。

田原:エネルギー政策について。菅首相は10月末の所信表明で2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすると宣言した。そのためには、少なくとも30年までに半減させないといけないし、30年をどうするかは来夏までに決めないといけない。でも自民党の議員たちに聞くと、エネルギー問題には触れたくないと。

枝野:原発でつじつまを合わせるしかないと思っているんでしょう。

田原:経済産業省の幹部に聞いたら、30年に原発を30基稼働と言っていた。

枝野:現実的ではないです。使用済み核燃料の問題も増えていき、最終処分も簡単には決められません。原発依存はまったくリアリティーがないです。そもそも今、原発がほぼなくても電力は足りています。

田原:枝野さんが経産相だった野田(佳彦)政権時、30年代の原発ゼロを打ち出したけど、結局閣議決定しなかった。背景には、謀略かもしれないけど米国の反対があったと。

枝野:3分の1くらいは正しいと思います。プルトニウムの扱いが問題でした。原発を止めること自体は簡単でも、すでに持っているプルトニウムを減らさないと核不拡散の観点から問題になる。そういう話があったのは間違いないです。原発をやめるには、多くのことを処理するために相当な時間がかかるんです。

田原:僕は電力会社の再編が必要だと思う。

枝野:今の体制のまま原発をやめれば、電力会社はバランスシート上、倒産してしまいます。原発は国が電力会社にやらせてきたのに、やめる費用を電力会社に負担させるのは無責任。やめるなら切り離してあげないと。

田原:一方で、電力会社は、太陽光、再生可能エネルギーについて反対している。

枝野:太陽光はともかくとして、風力とか地熱に適したところは送電網がなく、電力会社が積極的になれないのは当たり前です。その整備を国が責任を持ってやらなければ、新エネルギーを増やすことはできません。

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