田原:補償すればいいじゃない。

枝野:政府は損失補償するやり方に慣れていません。Go Toはその典型。お金をあげるから、どんどん買い物や旅行をしましょうというのは平時の経済対策です。

田原:加えて、日本はPCR検査が世界に比べて少なすぎる。

枝野:厚生労働省が把握していない検査は大幅に増えていると思います。私も地方出張の前に毎週PCR検査を受けています。今、ネットで検索すると、PCRや抗原検査について民間の医療機関などがたくさん広告を出しています。国会でも聞きましたが、こうした民間の取り組みについて厚労省は把握できていない。

田原:実はPCR検査は進んでいると。

枝野:民間にもっと情報を出させて、検査を求める人とつないでいく。そして、医療、介護関係者などに国がお金を出していけば、相当数を検査することは可能なんです。2、3月の状況とは全然違うのに、保健所や厚労省が把握している範囲でやるという意識が強すぎるのか、やろうとしない。

田原:指定感染症に分類されているから、陽性になると入院させないといけなくて、医療崩壊も危惧される。

枝野:現に病院に入れず、ホテルや自宅で療養をしている感染者もいます。われわれは12月2日に、発症していなければホテル療養を要請できるよう法律の改正案を出しました。ホテルは今空き室が多くて困っています。長期で借り上げ、事実上の隔離をさせてもらう。感染者をゼロにはできないが、相当減らせる。

(構成/本誌・秦正理、西岡千史)

>>【後編/田原総一朗「立憲ってそんなに調整が難しいの?」に代表・枝野幸男の答えは?】へ続く

週刊朝日  2020年12月18日号より抜粋

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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