立皇嗣宣明の儀を終えた秋篠宮が初めて天皇に挨拶をする「朝見の儀」では、天皇に続き雅子さまも次のように声を掛けられた。

「どうぞこれからもお健やかにお務めを果たされますように」

 公の場でのお言葉は、実に17年ぶりのことだった。宮内記者でさえ雅子さまの声を実際に聞いたのは初めてという人がほとんどだった。

 こうした様子からは、適応障害というご病気であることを忘れてしまいそうになるが、ご療養は17年となった。

 今では主治医の精神科医に診てもらうことはなくなったというが、日によっては重い疲れが残ることもあるという。

 だが儀式や公務などの日程に合わせて、数日前からご自分でお気持ちを調整できるようにまで回復されてきたという。

 天皇が即位されて、2年にもわたる即位関連の行事にすべてご出席できるかどうかは、当初は宮内庁職員でさえも確信は持てなかった。

 しかし、雅子さまのスケジュールに合わせたご体調の管理の詳細を職員が見聞きしていると「その日の気分に合わせたものではなく、計画的に努力をされて臨まれていらっしゃる」という。

 雅子さまにとって、即位関連の行事に出席することは皇后の務めであり、陛下をお助けするためにも絶対に乗り越えなくてはならないハードルだった。

 来年こそ新型コロナウイルスによる感染が落ち着いて、両陛下が直接、医療従事者や福祉関連事業者らと寄り添いながら対話をしていただける日を待つばかりだ。

週刊朝日  2020年12月18日号より抜粋