プロデューサー・J.Y.Parkの参加者を見る厳しくも温かいまなざし、愛情にあふれた励ましの言葉、時に厳しいメッセージも視聴者を引きつけた。日本の音楽文化に尊敬の念を持ち、日本語、韓国語、英語の3カ国語で参加者とコミュニケーションを取る。6月26日に放送された「虹のかけ橋」の最終回でデビューメンバーの9人が決まった際は深夜にもかかわらず、大きな反響が。

「オーディションというと殺伐とした雰囲気をイメージしていたが、娘と一緒に見ていてハマった。1人の子が褒められると、周りも感極まって泣いてしまっている姿が衝撃だった。10代の子供たちが支え合い励まし合う姿に胸を打たれた」

「40代のおじさんは高校生と接点がないけど、彼女たちの頑張りを見て心の底から尊敬しました。デビューできなかった子たちも歌唱力、ダンスはすごかった。最後にみんなで涙を流して抱き合っている姿に感動しました」

 などと、幅広い年代からネット上に賛辞の書き込みが殺到した。

 一方で、日本の音楽関係者は危機感を口にする。

「ダンス、歌のレベル、エンターテインメント性……、K-POPは世界基準です。それは、虹プロのオーディションにあれだけの参加者が応募したことでも明白です。J-POPは日本という市場で売れれば十分ですが、韓国は日本や米国など世界中に認められるグループを作る戦略で動いている。メディア戦略一つをとっても日韓で違いがある。虹プロはJYP EntertainmentがYouTubeでオーディションの様子をすべて配信していますが、日本の芸能事務所の感覚で言えば、テレビや有料のネットで放送された内容を丸ごとYouTubeで動画配信するという発想はない。こういう感覚は斬新だし、見習う点は多いと思う」

 体調不良で活動を休止しているミイヒを含めた9人は個性豊かだが、デビューまでの道のりが険しかっただけに、連日メディアに引っ張りだこの状況になっても浮ついたところは見られない。人気と実力を兼ね備えたガールズグループNiziUの快進撃はしばらく続きそうだ。(牧忠則)

※週刊朝日オンライン限定記事