オリックスの最速152キロ右腕・榊原翼も魅力的だ。22歳。育成枠から入団し、18年に支配下登録に昇格すると、昨年は13試合登板で3勝4敗、防御率2.72。10試合連続でクオリティースタート(先発投手が6イニング以上投げて自責点3以内)を達成し、安定した投球を見せた。今季は1勝(4敗)止まりだったが、直球で押し込む力強い投球スタイルで大化けする可能性を秘めている。

 トレードは出血覚悟で動かなければいけない。だが、巨人は選手の野球人生を考え、出場機会が多い環境が望めるならば、他球団とのトレードに積極的に対応する姿勢を見せている。実績十分でFA移籍してきたが本来の力を発揮できていない野上亮磨や陽岱綱、チャンスを与えられながらレギュラーをつかみきれず、1軍と2軍を往復する重信慎之介らは他球団が触手を伸ばす可能性は十分にある。

 巨人の担当記者は、こう話す。

「リーグ連覇した喜びより、日本シリーズで2年連続4連敗を喫した危機感のほうが大きい。来年はセ・リーグで3連覇するだけではファンは満足しない。目指す目標はパ・リーグのチームに日本シリーズで勝つチームを作ること。そう考えると、パ・リーグの投手の獲得に動くのは必然になる。今オフは驚くようなトレードが実現するかもしれません」

 来季に向けて、戦いはすでに始まっている。(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事