いまでは、切り絵専門の美術館が全国に建ち、切り絵作家の個性あふれる作品を楽しむことができる。

 gardenさん(37)は、草花や動物の繊細な図案が人気の日本人切り絵作家だ。なかでも、浮世絵を図案にした切り絵本は、男性に受けた。「富嶽三十六景」「名所江戸百景」、「見返り美人」など浮世絵の名画を図案にした点が、知的好奇心とオタク心を刺激したのだろうか。

「お見舞いでプレゼントされて以来、没頭しています」「切り絵で、無心になれます」ーー。

 男性からの感想がぞくぞくと届いた。

「切り絵は老若男女を問わず、楽しめる芸術です。実際、切り絵人口は、増えたとなあと感じます」(gardenさん)

 いまはスマホゲームやバーチャル世界が、どんどん日常に浸透している。

「そうした環境になると逆に、人間は実感を求めて手にカッターナイフを握り、紙を切る。体感を伴う作業に回帰したくなる生き物なのかもしれません」(同前)

(本誌 永井貴子)

※週刊朝日オンライン限定記事