※写真はイメージです (GettyImages)
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ベートーベン関連のCD販売ランキング(2020年1~9月の「楽天市場」から) (週刊朝日2020年12月11日号より)
ベートーベン関連のCD販売ランキング(2020年1~9月の「楽天市場」から) (週刊朝日2020年12月11日号より)

 第九のシーズンが近づいた。新型コロナウイルスの感染に揺れた今年は、「楽聖」と称された作曲家ベートーベン(1770~1827)の生誕250年。耳が聞こえないなどの苦難の生涯が投影された彼の作品は、実に人間味あふれるものでもあるという。ファンに支持されたCDを人気順にまとめてみた。

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 ベートーベンによる交響曲第9番の第4楽章「歓喜の歌」。年末になるとプロも素人も集まって歌われる恒例の「第九」は、生誕記念イヤーにもかかわらず、例年と違うものになりそうだ。

「合唱は密閉空間に集まり大声を出す『3密』の典型。今年は少人数で収録し、鎌倉交響楽団の演奏と合成して鑑賞できるようにします」

 こう話すのは、鎌倉芸術館(神奈川県)の「日本語で歌うリモート『第九』2020」の合唱団員の60代男性だ。公募で選ばれた約160人の合唱団は一堂に会して歌う形式はとれず、あらかじめ収録するなどした動画を12月20日に上映する予定だ。

 国内で第九が“年末恒例”とされてきたのは、「今年もつらいことなどいろいろあったが、来年に希望を持とうという曲の理念に一致している」からだと、音楽評論家の伊よし子さんは解説する。

 ベートーベンはボン(現在のドイツ)で生まれ、宮廷音楽家の父親から音楽教育を受けたとされる。モーツァルトに私淑し、やがてハイドンの弟子となった。20代で難聴の症状が表れ、晩年は耳がほとんど聞こえなかったと伝えられる。56年の生涯を閉じるまでの大半をウィーン(現在のオーストリア)で過ごし、引っ越しは数十回とも。独身だったが、女性関係の逸話は数多い。

 ベートーベンの作品は3期に区分され、初期はハイドンやモーツァルトの影響を受けた。中期は交響曲第5番「運命」や同第6番「田園」など代表作が多い。音楽評論家の飯尾洋一さんは「中期は『運命』のように“苦悩”から“勝利”へ、“暗”から“明”へと明快なドラマ性がある」。

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