芸能活動を再開した加山雄三 (c)朝日新聞社
芸能活動を再開した加山雄三 (c)朝日新聞社

 11月20日、誤嚥(ごえん)と小脳内出血のため入院していた加山雄三(83)が、公式ホームページ上で無事退院したことを報告した。

【写真】若大将のメモリアルアルバムに参加する意外なアーティストはこちら

「検査の結果、脳梗塞(のうこうそく)による後遺症・障害は一切ないと診断されましたので、芸能活動を再開して参りたいと思います」

 その力強い不死鳥のようなメッセージは、永遠の青春を生きる“若大将”そのもの。ここ数年、愛弟子(まなでし)だった加瀬邦彦さんの死、長年の相棒「光進丸」の火災、自身の体調不良と多難に見舞われていたものの、今年はデビュー60周年の節目。12月2日に発売される11曲入りのメモリアルアルバム「DEDICATED to KAYAMA YUZO」は、参加するミュージシャンらの豪華さが大きな注目となっている。

 鳥塚しげきらザ・ワイルドワンズをはじめ、谷村新司、さだまさし、THE ALFEE、つんく♂、甲本ヒロト、奥田民生、斉藤和義……いずれも加山の影響を受け、現代のJ−POP、J−ROCKシーンを形作ってきた面々だ。

「ワクワクが止まらない。各ソングライターが、それぞれの個性をしっかり出しながら、加山さんの原曲に限りなく似ていて非なる作品を書いてきた。全くもって見事な出来栄えだった」(鳥塚しげき)

「今回は『蒼い星くず』をベースに、エレキ節なんだけどGSサウンドにまとまらないよう、最新サウンドを意識して作りました。以前ハワイのライヴでご一緒させていただいたり、家族をお寿司に誘っていただきありがとうございました。またいつかハワイでご一緒できたら嬉しいです」(つんく♂)

「かっこいいぜ! ロックンロールの若大将! 未来が輝くやりかたを軽々とやってしまう。永遠です!」(甲本ヒロト)

 大先輩のオファーに応じた彼らが本作に寄せるコメントも、感動と興奮が伝わってくるよう。

 日本にロックやポップスという言葉すら浸透していない1960年代初頭から、音楽シーンの第一線を走り続けた加山。活力に満ちあふれた時代を象徴するスターには、新型コロナウイルスの影響で力強さを欠く現代社会を勇気づける存在として、今後も末永いご活躍を願いたい。(中将タカノリ)

週刊朝日  2020年12月11日号