だからこそ、皇室制度の存続は立法府である国会に求められている重要な仕事です。それには、女性・女系天皇をセットで認めるしかありません。

 2005年に小泉内閣で設置された有識者会議は、女性・女系天皇を容認する報告書を出しました。それから15年が経ちましたが、いまだに議論は進んでいません。

 この間、旧宮家の復帰が議論になりましたが、長く皇室制度から離れていた人が宮家に戻ることは現実的ではありません。戦後、皇室は大きく変化しました。外部から来られた方が新たに国民の象徴として受け入れられるのは難しいでしょう。

 また、女性・女系天皇を認めることは、皇位継承者の人権への配慮でもあります。

 皇室制度は、皇室の方々に憲法が定める基本的人権を相当制約することによって成り立っています。だからといって、皇位継承者と皇太子妃にこれほど男子を産むよう強く求める制度を放置するのは、あまりにも理不尽です。女性・女系天皇を認めることは、人権が制約されながらも象徴としてのお役目を果たされている方々に対する、国民のせめてもの「優しさ」だと私は考えています。

(本誌・西岡千史)

週刊朝日  2020年12月4日号