同じように、主契約に付けられる「特約」が多すぎないだろうか。実は保険料の大半が、特約になっているケースも多い。特約を付ける場合も、しっかり見極めよう。

「ほかに入っている別の保険と保障の内容がダブっていたり、特約でカバーするよりも別の保険に単体で入ったほうが有利だったりする場合もあります。とくに特約の保障は、保険金の支払い要件が厳しかったり、保障が十分でなかったりする場合もあります」(同)

 例えば、がんで入院した時に入院給付金が出る「がん入院特約」は必要性が低い。最近は入院せずに治療するケースが増えてきたためだ。単体のがん保険に入ったほうが有利かもしれない。一方、がんや急性心筋梗塞など3大疾病になると、保険料を払う必要がない「保険料払い込み免除特約」や、余命6カ月以内と診断された場合に死亡保険金が出る「リビングニーズ特約」など、入っておいたほうがいいものもある。

 前出の網野さんは「医療保険の保障内容は、時代に応じて変わるものもあります。見直す場合には、若い頃に入った契約をベースに、医療技術や介護、認知症などのニーズの変化に対応した保障を追加するなどしてカスタマイズするのも一つの手」と指摘する。

 さらに、保険で不安のすべてを解消しようと考えがちな点にも注意を。

「保険ですべてのリスクを回避しようとするのは大きな間違い。リスクへの備えとして社会保障制度が整備されていますし、ほかの金融商品など別の方法で解決したほうが合理的なケースもある」(前出の長尾さん)

 社会保障制度が手厚いのは医療だけではない。世帯主が亡くなると国民年金から遺族基礎年金が出る。会社員や公務員なら、遺族厚生年金が上乗せされる。もちろん、教育費や将来の生活費すべてを賄うことはできないものの、生活費の一部はこうした公的な制度で補うことができる。

 コロナで働き方や暮らし方も大きく変わった。それに合わせて、保険も見直す必要がある。自分にとって本当に必要なのはどんな保険かを見極めよう。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2020年12月4日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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