浅野和之さん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・張 溢文)
浅野和之さん(左)と林真理子さん (撮影/写真部・張 溢文)
浅野和之 (撮影/写真部・張 溢文)
浅野和之 (撮影/写真部・張 溢文)

 大ヒットドラマ「半沢直樹」で、「トミさん」こと富岡義則役で出演した名脇役俳優・浅野和之さん。作家・林真理子さんとの対談で、演技や役者人生について語りました。

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※【浅野和之、自粛中に韓流ドラマ鑑賞で“ロス”を体感】より続く

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林:浅野さんの年代だと、子どものころ劇団四季のミュージカルを見たのが演劇に目覚めたきっかけですか。

浅野:いや、違います。劇団四季は見たことはなかったです。うち、親が貴金属の宝飾をやってたんで、住み込みの職人さんが5、6人いたんです。その人たちの前で職人さんの動きをまねして、「これ誰だ」ってやったり、近所のおばさんの前でいきなりお尻出して逃げたり、水原弘が歌ってた「黒い花びら」を水原弘っぽく歌ったり、そうするとウケるんですよ。笑ってくれるし、喜んでくれるから、とにかく人前で何かするのが好きだったんですね。それで味を占めて。

林:プロの役者を目指そうと思ったのはいつごろなんですか。

浅野:役者になろうと思ったのはずっと後です。小学校の学芸会にどうしても出たいと思って、どうしたら出られるか考えて、うちに帰って毎日教科書を開いてスラスラ読めるようにしたり、姿勢も気をつけるようにしたら、学芸会に出られたんです。

林:中学でも演劇部ですか。

浅野:はい。ただ、演劇部は女の子ばっかりだったんで、面倒くさくて途中でやめちゃったんです。高校でも演劇部に入ったんですけど、男子校だったので当然男しかいないんですよ。それで新宿の紀伊國屋書店に行って、男だけの芝居の脚本を探したりしてたんです。

林:まあ、ほんとにお芝居が好きだったんですね。

浅野:芝居を教えてもらいたくていろんな劇団に電話したんですけど、「高校を卒業しないとダメ」と言われて、そしたら、たまたま児童劇団の青年部みたいなのに入れて、しばらく演劇の勉強をしたんです。そのあと大学は桐朋学園に行ったんですけど、この時代は楽しかったですね。朝起きてから夜までずっと芝居の稽古漬けみたいな感じで。そうやって芝居のことばかり考えてやってきたら、最終的にそれが自分の仕事になったというか。

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