金曜も午後3時に集合。翌日の本番に備え、前週の木曜に決めたコントのリハーサルをする。

「稽古は必ずGリハ(リハーサルルーム)で。隣のHリハも他の番組で使っていて、そちらの出演者がよく見学に来ましたが、決して来なかったのが萩本欽一さん。萩本さんはトイレでばったり会うと、『うちで麻雀やろう』とかいろいろと話しかけてくれましたが、番組の話は一切しませんでした」(田村さん)

 ドリフが稽古をしている間、西川さんらは準備に追われた。いかりやさんの要求はコロコロ変わる。ギャグを思いつくたび、大道具の改変や小道具の追加を命じたのだ。

 変更は本番の土曜日にも行われた。

「現場に着いてから長さんが何を言うかわからないので、土曜は朝からおなかの調子が悪かった。会場までの途中駅のトイレの場所を調べておきました。思いつきで何を買いに走らされるかわからないから、ポケットには常に10万円を。仏壇が欲しいと言われて仏具屋に走ったときは、高いから諦めてパネルでそれふうのものを作りました。急にゴリラの人形が欲しいと言われたこともあります。あちこち探したけどないので金髪の女の子の人形を買ってきて、和紙を貼って、塗って作りました」(西川さん)

 これは「長介人形」として人気に。仲本さんはいかりやさんへの怒りを込め(?)殴った。

 セットの雨どいをめぐり、美術スタッフが反乱を起こしたこともある。

「前の日にも確認。現場でも確認した。それなのにまた違うことを言いだして。これはダメだと思って『お茶に行くか』と言ったら、50人ほどいた美術担当が全員付いてきました」(西川さん)

 現場を放棄して喫茶店にこもった美術スタッフを説得に、何度もアシスタントディレクターが足を運んだという。

 夜8時。ようやく本番を迎える。生放送だけにハプニングも続出した。

 ジャングルのセットのヘビが燃えだしたことがあり、西川さんは消防署から調書を取られた。ラクダを登場させようと運んだが、ホールに向かうエレベーターを怖がり大量に失禁。登場を諦めたこともあった。

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