「エネルギーの地産地消」に「電力自給自足」も 電力は買わずに生み出す時代へ

2020/11/29 08:02

 立ち上げ当初から藤野電力に携わり、現在もワークショップ講師を務めるのが鈴木俊太郎さん(52)。1999年、東京都八王子市からこの地に移住した。

 本業は整体師。電気に関心を持ったのは2001年、当時使っていた車のバッテリーがあがったのがきっかけだった。当初は家庭用のコンセントで充電を行っていたが、ある夏の日、日差しの当たる車を見て太陽光の使用を思いついた。さっそくソーラーパネルを購入して試すと、車は稼働。この体験を機に日々の生活にも太陽光を取り入れるようになった。現在は電力会社の電気も一部使いながら、居間や台所の照明はすべて太陽光で賄っている。

 11年の東日本大震災後、藤野電力の前身となる活動に「これまでの知恵を生かせるのでは」と参加。当初の地区で発電所ごと買い取る計画は壮大すぎて頓挫したが、ワークショップ活動を始めると好評で、現在までのべ245回を開催した。藤野電力の立ち上げを機に電気の勉強を始め、第二種電気工事士の資格も取得した。現在は依頼に応じて自宅への太陽光パネル設置なども行う。売電などの事業化は考えていない。鈴木さんとともに同地区でトランジションタウン活動に関わる池辺潤一さん(51)は、電力会社の送電網を使わず電力を自給自足する「オフグリット」にこだわっていると話す。

「自分で使う分の電気を自分で生み出せば、エネルギーの一端を担っている感覚が生まれる。利益を生み出すというよりも、『今月も電気を買わずに済んだ』といったやりがいのほうを大切にしています」(池辺さん)

 活動が始まり約10年が経つ今は、ワークショップの参加者から、電気に対する関心の変化を感じると鈴木さんは話す。

「当初は原発問題に関心を持つ人が多かったですが、最近は、『自分で作った電気で暮らしたい』という人も増えている。電気の自給自足が、『田舎で野菜作りをしたい』という感覚と近くなっているように感じます」(鈴木さん)

(本誌・松岡瑛理)

週刊朝日  2020年12月4日号

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