「エネルギーの地産地消」に「電力自給自足」も 電力は買わずに生み出す時代へ (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「エネルギーの地産地消」に「電力自給自足」も 電力は買わずに生み出す時代へ

松岡瑛理週刊朝日
鈴木俊太郎さん。ワークショップで活用する太陽光パネルとともに

鈴木俊太郎さん。ワークショップで活用する太陽光パネルとともに

鈴廣かまぼこの新社屋の屋根に取り付けられた太陽光発電パネル(上)と、執務スペース天井の光ダクト(ともに同社提供)

鈴廣かまぼこの新社屋の屋根に取り付けられた太陽光発電パネル(上)と、執務スペース天井の光ダクト(ともに同社提供)

日本の電源別発電量割合 (週刊朝日2020年12月4日号より)

日本の電源別発電量割合 (週刊朝日2020年12月4日号より)

 国に頼らず自力で動く。3.11以降に各地で生まれた、巨大電力システムに頼らずに企業や地域が主体となって電力を生み出す取り組みをルポする。

【表】日本の電源別発電量割合を見る

 社を挙げて「エネルギーの地産地消」に取り組むのが、かまぼこの老舗メーカー「鈴廣かまぼこ」(神奈川県小田原市)。箱根登山鉄道・風祭駅から徒歩数分の場所に、2015年8月に完成した新社屋がある。

 社屋は3階建て。2階のオフィス部分に足を踏み入れると、ぬくもりある木の空間が広がる。聞けば、床や天井には小田原産ヒノキを使用しているという。

 さらに目を凝らせば、建物内の至る所に小さな「仕掛け」がある。屋根には38.4キロワットの太陽光発電パネルを設置。天井部には、窓がなくとも光を取り込める「光ダクト」を取り付け、パネルで取り込んだ太陽光を2、3階の執務空間で拡散させる。照明はすべてLEDで、室内は一定の照度に保つ。地中熱や地下水を利用した空調システムも導入。建物全体では同規模の一般的な建物と比較して約60%のエネルギー削減に成功しているという。

 新社屋は国の「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」事業に認定された。ZEBとは、省エネや再エネの導入で、年間のエネルギー消費量を正味でゼロとすることを目指す建物のこと。千葉大学の倉阪秀史教授(環境経済学)が話す。

「CO2排出ゼロのためには再エネの導入だけでなく、省エネの推進も欠かせません。省エネというと我慢をイメージするかもしれませんが、ZEBのような技術で構造転換すれば、生活の快適さは損なわれない。より高いビルについてもZEB化が期待できるでしょう」

 鈴廣は13年から工場や直営レストランなどに太陽光や地中熱、地下水を利用したシステムを導入。こうした小さな積み重ねが、新社屋の建設につながった。同社の施設管理担当・廣石仁志さんはこう話す。

「中小企業である我々には、大きな取り組みはできません。目指しているのは、『小さな現実』を増やすこと。取り組みが知られ、全国各地に広がっていくのなら、エネルギーの地産地消としてはそれが一番理想的な形だと思っています」


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