言霊操る大竹しのぶの“怪演” しゃべらないのに雄弁で底なし沼の瞳 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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言霊操る大竹しのぶの“怪演” しゃべらないのに雄弁で底なし沼の瞳

連載「てれてれテレビ」

カトリーヌあやこ週刊朝日#カトリーヌあやこ
カトリーヌあやこ・漫画家&TVウォッチャー

カトリーヌあやこ・漫画家&TVウォッチャー

イラスト/カトリーヌあやこ

イラスト/カトリーヌあやこ

 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「世にも奇妙な物語’20秋の特別編」(フジテレビ系 11月14日21:00~)をウォッチした。

【「世にも奇妙な物語'20秋の特別編」のイラストはこちら】

*  *  *
 大竹しのぶ演じるタテモトマサコ(館本雅子)は、文具会社の総務部で働く地味なOLだ。画面上に姿はあれど、うっそりとしたたたずまいの彼女は一言も発しない。

 ある日、同僚のOL・志倉楓(成海璃子)が営業部の恋人・近藤からプロポーズされた。幸せいっぱいの2人だったのに、翌日近藤は飛び降り自殺。彼が残したメモには「タテモトマサコに殺される」と書かれていた。

 楓はタテモトを問い詰める。タテモトマサコはしゃべらない。やけに口角がゆがんだつまらなそうな顔。しゃべらない大竹しのぶは雄弁だ。

「どこまで? どこまでご存じですか?」

 タテモトが初めて言葉を発したのは、実に物語開始からおよそ24分後。

「言霊って知ってますか言葉には霊的な力が宿っているってやつです人間は多かれ少なかれ言霊の力が備わっているんですあなたにもそれはありますよ多少ですけど」

 タテモトマサコ、話し出したら句読点がなかった。淡々と抑揚なく紡がれる言葉。しのぶ、息継ぎしてない。

「タテモトマサコのことは忘れなさい」

 都合の悪いことを知られたら、相手を死に追いやることもいとわない。彼女は、自分の発する言葉で人を操る「言霊」の力を持つ女だった。いやその能力、大竹しのぶにこそ備わってるよね。

 トイレの個室にこもって、自分自身と会話する世にも奇妙なタテモト……いや大竹しのぶ。

「私は平穏に暮らしたいだけなのに……」
「仕方ないよ、マサコは選ばれた人間なんだから」

 誰かいる。声が違う。マサコの中に、しのぶの中にまだまだ誰かいる。見開いたしのぶの瞳は、まるで真っ黒な底なし沼。

 ギャーッ!

 記憶を消された楓だが、腕に書き残していたメッセージを見て、タテモトとの会話を録音した音声データを社内一斉メールで送信する。周囲で起こる不審死の真相を明かす音声。そしてあのメッセージ。「タテモトマサコのことは忘れなさい」

 それを聞いたタテモト自身も記憶を失った。「私は誰ーっ!」というしのぶの絶叫がこだまする。

 ところで記憶を消された者は皆、鼻血を流すんだけど。最近私、すごく鼻血が出るんです。もうしのぶの言霊に操られてますか?(空気が乾燥してるせいだから)

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

週刊朝日  2020年12月4日号


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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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