日米地位協定では、特に沖縄で米軍人・軍属による事件や事故が起きるたびに見直しが求められてきた。首都圏の上空を米軍が管制下に置く「横田空域」の問題など課題が多い。地位協定の改定に「踏み込むべきではない」と回答したのは自民の4人だけで、無回答を除いては、他のすべての与野党議員が、「踏み込むべき」と回答している。

 柴山昌彦氏(自民)は2択には回答していなかったが、「これまで運用改善を進めており、今後については国益のため何が必要か検討していきます」と記述。山尾志桜里氏(国民)は、「この問題を投げかけることが、日本の国家としての自立につながる」。

 選択的夫婦別姓制度の導入についても尋ねた。別姓夫婦はすっかり社会に浸透していることもあってか、野党の大方の議員、公明の全議員、自民も15%(10人)が賛成するなど全体で5割を超えた。認めるべきではないとしたのは全体でも1割程度だった。

 政府が国民に対し、必要最小限のお金を無条件で支給するのがベーシックインカムだ。パソナグループ会長の竹中平蔵氏が「月7万円を支給する代わりに年金や生活保護も必要なくなる」などとBS番組で発言。現行の社会保障制度を根底から揺るがしかねないとして、物議を醸した。

 導入について、自民は「するべき」と答えたのは3人。立憲は「するべき」19人、「するべきではない」12人と割れた。

 階猛氏(立憲)は消費税との兼ね合いから、こう提案する。

「恩恵が富裕層になるほど大きくなる消費税減税よりも、平均的な世帯の消費税支払額に見合う金額をベーシックインカムとして支給したほうが、生活支援策として有効だ」

 最後に自由記述欄から。アンケートの質問項目には入っていないが、拉致問題の解決を求める意見があった。源馬謙太郎氏(立憲)がこう訴える。

「拉致問題の解決が18年間、一歩も進んでいません。今年の通常国会でも委員会すら開催されず、これまで担当大臣だった菅総理には、確実に前進させる責任がある」

 菅首相には、議員たちから寄せられた建設的な提案を、ぜひ参考にしてほしい。(本誌・亀井洋志、上田耕司、西岡千史、吉崎洋夫/今西憲之)

週刊朝日  2020年12月4日号より加筆

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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