国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長(左)、菅首相、小池百合子東京都知事(右) (c)朝日新聞社
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長(左)、菅首相、小池百合子東京都知事(右) (c)朝日新聞社

 新型コロナの「第3波」が押し寄せている。国内の感染者数は連日のように過去最多を更新。そんな状況でも「衆院解散」「五輪開催」といった話が聞こえてくる。そこで本誌は衆院議員に緊急アンケートを実施。コロナ禍での解散や五輪などの賛否について聞いた。

【衆院議員緊急アンケート! GO TO 解散、五輪について結果を見る】

 若者の感染が多かった第2波では死亡率が下がったが、第3波では高齢者の感染も増え始めている。このまま患者が急増すれば、医療態勢は一気に逼迫(ひっぱく)し、崩壊しかねない。緊急事態宣言の再発令や、東京や神奈川、北海道など感染多発地のロックダウン(都市封鎖)も現実味を帯びている。

  連日、新型コロナの感染者数が増える状況にあっても、「Go To キャンペーン」の事業見直しについては、一貫して慎重姿勢だった政府だが、菅義偉首相は11月21日、運用を一部見直すと表明した。感染拡大を危惧する専門家らの、運用見直しを求める強い要望におされた形だ。とはいえ、天気に恵まれた3連休の行楽地は、場所によっては多くの観光客でにぎわい、羽田空港なども旅行者らでごった返した。

 日本医師会の中川俊男会長は、各地で感染者数が急増していることについて、11月18日の記者会見で、「Go To トラベルがきっかけになったのは間違いない」と指摘。19日には、国がGo Toを進めることで、「国民が完全に緩んでいる。国がそう言っているんだから大丈夫なんだな、と」と重ねて牽制した。

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師もあきれながら言う。

「本来ならば検査体制を拡充して、無症状の感染者を見つけて隔離する、行動自粛してもらう、などの感染対策が優先されなければなりません。そのうえで経済対策を実施すべきです。感染対策が不十分なまま旅行を再開させたイギリスは、欧州の中でも新型コロナ感染症による死亡率が高く、経済的ダメージも大きい。いま日本も同じ轍(てつ)を踏んでいるのです」

 感染が拡大すれば経済活動は再び停滞し、社会不安が増すばかりだ。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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