解散に言及した二階幹事長(C)朝日新聞社
解散に言及した二階幹事長(C)朝日新聞社

「この文書でますます、永田町は解散モードですよ」

 こう言って自民党の衆院議員が、スマートフォンの画面に映し出したのは、一枚の文書だった。

 タイトルは「◎<想定>解散総選挙日程」

 年明けの2021年1月、菅義偉首相が衆院解散をした場合に想定される日程がつづられているのだ。書面を読み進めると、2021年1月8日に国会を召集。1月14日からは第3次補正予算の審議に入る。それを1月19日に審議、採決で可決させた直後に衆院解散という日程となっている。

 衆院選の公示は1月26日、投開票は2月7日とされている。1月解散説は、自民党の下村政調会長が11月から言い始め、16日の講演でも言及した。

 その後、公明党からも同調する声が出て、先週には二階俊博幹事長もこう見解を示した。

「来年の東京オリンピックの前の解散もありうる」

 永田町はにわかに慌ただしくなってきた。

「これまで二階幹事長は、まったく解散について話さなかった。それが具体的に言及したということは、そう遠くないという意味とみんな考えている」(前出・自民党の衆院議員)

 この文書には米国のトランプ大統領からバイデン新大統領に政権が移行するアメリカについても触れられている。

<20日(水)米国大統領就任式(米国時間)>
<【日米首脳会談】以下のいずれかで調整
(1)常会召集前
(2)特別会召集 首班指名後(この場合は政府4演説を遅らせる)
(3)衆議院解散~総選挙公示の間>

 解散総選挙で自民党が勝利し、引き続き菅政権が続くという前提で組まれたスケジュールだ。だが、通常、衆院解散となった場合、最短でも立候補者説明会や印刷物の配布などさまざまな準備で、2週間程度の期間が必要とされる。この想定文書だと、1週間しか期間がなく、余裕がない。自民党閣僚経験者がこう話す。

「この文書は自民党から出ているのは間違いない。当たらずとも遠からずだね。1月8日に国会を召集して、第3次補正予算は4、5日で採決できる。冒頭解散をして、2月7日の投開票にすることも可能。もしくは、2月14日か21日の投開票もありうる。この時期を逸すると解散は予算編成が終わる4月になる。7月に東京都議選があるからそこは厳しそう。2月がギリギリだ」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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