「東京都が定める条例では、知事の退職金は条例上の給料月額×在職月数×支給率のかけ合わせで決めるとされています。つまり、毎月の知事報酬は半額にしても、退職金は条例上の金額(満額)で換算されている。『東京大改革』を掲げるのであれば、都の財政が苦しい時には給料同様に退職金も半額にするか、受取りの辞退を表明する必要があったのではないか」(上田都議)

 大阪府では12年、府知事の退職金額を従来の条例で定めた85%削減。15年には退職金自体を廃止した(ただし、退職金に相当する額が分割されて毎月の給料に上乗せされかたちで、これについては批判もある)。他にも、知事の判断で退職金を受け取らなかった例は複数ある。

 そもそも、1期目を終えたとはいえ、2期目の知事業務がそのまま継続しているのに本当に「退職金」が必要なのかも、論議の余地があるだろう。そこには「官僚主義の名残」が見て取れると上田都議は指摘する。

「もともと、都道府県の知事職は自治省や総務省の官僚OBの“天下り先”のようなポジションになりやすく、小池氏のように政治畑から就任する人は少数派です。そうした方々からすれば、省庁勤めの後に再度退職金をもらえるわけですから、言わば『お年玉』のようなもの。サラリーマンが4年企業勤めをしたところで、これほど高額な退職金がもらえることはまずない。まずこういった点から改革に着手する必要があるのではないでしょうか」(同)

 退職金制度の見直し予定について東京都総務局の担当者に訊ねたところ、「現時点で特段の指示は来ていない。今後のことはわかりかねる」と回答があった。「改革」を期待されて当選した小池氏だけに、「合法」として片づけてほしくはない。

(本誌・松岡瑛理)

※週刊朝日オンライン限定記事