林:前にテレビで業界的には問題発言をしておろされちゃったって本当ですか。

和田:たぶんそうだと思います。民放の某番組に出たときに、控室でディレクターから「絶対に(司会者の)○〇さんを言い負かさないでほしい。統計数字のデータを出すと議論が終わってしまうので、出すなら最後にしてほしい」って言われたのね。彼を言い負かしたら、たぶん彼は終わったあとメチャクチャ不機嫌になると思うんですよ。だからプロデューサーやディレクターが忖度してるんです。

林:そうか。つまんない話だなあ。

和田:そのころはまだ僕もおぼこかったから、素直に言うことを聞いたけど、今だったら「こんなことをディレクターに言われました」って最初にいきなり言いますよ。

林:だから先生がコワくて、どこもテレビに出さないんだ(笑)。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

和田秀樹(わだ・ひでき)/1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、精神科医・臨床心理士。国際医療福祉大学心理学科教授。和田秀樹こころと体のクリニック院長。和田秀樹カウンセリングルーム所長。一橋大学経済学部非常勤講師。川崎幸病院精神科顧問。映画監督としても活躍。近著に『東大医学部』『「コロナうつ」かな?』『感情の整理学』など著書多数。

週刊朝日  2020年11月20日号より抜粋