板倉京(いたくら・みやこ)/安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)、コンサルタント会社、朝日税理士法人などを経て、板倉京税理士事務所を開業。個人の所得・相続、お金の知識などを得意分野とする。近著は『知らないと大損する!定年前後のお金の正解』(ダイヤモンド社)(提供)
板倉京(いたくら・みやこ)/安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)、コンサルタント会社、朝日税理士法人などを経て、板倉京税理士事務所を開業。個人の所得・相続、お金の知識などを得意分野とする。近著は『知らないと大損する!定年前後のお金の正解』(ダイヤモンド社)(提供)

 退職金など定年前後のお金に関する決断が老後の生活を左右すると言っても過言ではありません。選択を誤ると大損をする落とし穴がいっぱい待ち受けているのです。税理士・IFAの板倉京さんが、やってはいけない5つのことをお教えします。

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 私は、日ごろ、シニアのお客様のお金のご相談にのっていますが、税やお金の知識がないばかりに損をされている方が多いことに驚かされます。後悔しないためには「お金の正解」の知識を持つことが大事です。

 定年前後のさまざまな決断は老後の資金に大きな影響を与えますが、中でも、大きな要素となるのが「退職金」です。

 退職金の支払額が決まっていたとしても、受け取り方や運用方法などを間違えると、多額の税金がかかったり、損をしたりして、老後の資金を大きく減らすことにもつながりかねません。

 ここでは多くの人がハマりがちな「老後資金を減らすやってはいけない5つのこと」についてご説明いたします。

×1 退職金の受け取り方を間違える
 実は、退職金の手取りは「受け取り方」によって大きく変わるのですが、知らない方が多いです。

 たとえば、「一時金」と「年金型」の受け取り方法を選べる会社の場合、「運用してくれそうでお得だから」と「年金型」を選ぶ人もいますが、これは多くの場合、間違いです。

 実は、退職金の「手取り」を最大化する第一のポイントは税金を低く抑えること。「一時金」でもらう退職金には、「退職所得控除額」という大きな非課税枠が、勤続年数に応じて用意されています。この額までは税金はかかりませんし、超えても超過分の半分だけが課税対象。しかも、一時金には「社会保険料」がかかりません。

 年金でもらう場合も「公的年金等控除額」という非課税枠はありますが、退職所得控除額に比べると小さくなっています。

 ですから、退職金が退職所得控除額に収まるなら、一時金でもらうほうが絶対にお得です。ただし、収まらない場合は、一部を年金にしたほうが得な場合もあります。

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