田原:菅さんは「自助・共助・公助」と言っていて、これは公明党と共通する。ただ、立憲民主党代表の枝野(幸男)さんは新自由主義そのものだと怒っています。

山口:大事なのはバランスなんです。これからの時代は共助を重視していくというのが公明党の考え。公助は財政負担の点で一定の限度がある。だからなんでも公助というのはまずい。一方で自助はなくていいかというと、自立心をなくした社会もよくない。いくら努力しても乗り越えられない困難があるときに共助や公助を提供する。社会保障は公助の面がありますが、民間の力を生かした共助も含めた社会保障、という可能性も探れると思っています。

田原:菅さんは10月26日の所信表明演説で「脱炭素社会」を宣言した。2050年までのCO2排出を実質ゼロにと言うが、無責任だと思う。

山口:かなり高い目標を掲げていますが、時間をかけて挑戦しています。

田原:政府は18年にエネルギー基本計画を作ったけど、これがむちゃくちゃ。原発を20~22%としているけど、これは今ある原発をすべて再稼働させても足りないうえに、さらに新設が必要。自民党幹部たちに実現の可能性を聞いても、黙るばかりだった。50年のCO2ゼロのためには、まず30年をどうするか。今年、来年には決めないと。

山口:困難な課題ではありますが、リーダーの姿勢が大きく変われば、周囲も変わるものです。

田原:現に変わっていないじゃない。菅さんの言うとおりにしているだけ。

山口:変えていかないといけないんです。製鉄にしても、CO2削減に向けた新たな技術開発に挑まないと、もはや鉄鋼業は成り立たないというところまで追い詰められています。CO2排出ゼロを目指せと政府に初めて問いかけたのは公明党です。今年1月の衆参の代表質問で私も訴えました。

田原:日本と米国は遅れている。去年、小泉進次郎環境相がCOP25で具体的な数字を示せなかった。やはりしっかりとした計画を作らないといけない。

山口:かつて自動車排ガス規制で米国から極めて高いハードルを課されましたが、日本のメーカーは血のにじむ努力でそれを乗り越えた。エネルギーについても、まさに日本はそういう正念場にいるのだと痛感しています。

田原:米国の大統領選挙についても聞きたい。

山口:二者択一をむき出しにし、激しい分断を招いているように見えます。

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