六代目山口組の司忍組長(C)朝日新聞社
六代目山口組の司忍組長(C)朝日新聞社
銃撃事件があった事件現場
銃撃事件があった事件現場

兵庫県尼崎市で神戸山口組の仲村石松組長ら2人が11月3日、何ものかに銃撃され、重傷を負った事件が大きく動いた。

【写真】銃撃事件があった事件現場の様子

 兵庫県警は11月5日に出頭してきた六代目山口組傘下「司興業」の幹部、藤村卓也容疑者(52)を殺人未遂容疑で逮捕した。

 事件は祭日の白昼に起こった。

「岡山県警を名乗る男から、仲村組長は呼び出された、近くのコンビニエンスストアに行った。するとそこで2人組の男が近寄り仲村組長に発砲、両足を撃たれた。一緒にいた幹部が相手に飛びかかった際、何発か発砲され、うち1発が手に命中した。どちらも命には別条ない」(捜査関係者)

 事件の様子を目撃したという近くの住民はこう振り返る。

「パン、パンと乾いた音がした。男性が血を流して倒れていて男2人が逃走。撃たれた一人が大声で怒鳴っていた。店付近には、他のお客さんもいて、震えていた。映画のワンシーンのような光景だった」

 兵庫県警は神戸山口組と対立する六代目山口組の犯行として捜査。5日になって、藤村容疑者が出頭した。

 民放テレビ局などで犯行直後のドライブレコーダー映像が報じられたが、2人の男が逃走する様子が映っていた。最初に逃げているのが、藤村容疑者とみられる。

 藤村容疑者は、広島の出身。若いころは、広島の指定暴力団「共政会」傘下の組員だった。その後、広島を離れて10年ほど前に六代目山口組傘下の組員となった。

 今回の犯行、実際にけん銃を撃った実行犯は藤村容疑者ではなく、もう一人の逃走中の男と兵庫県警は、みている。

 兵庫県警は、出頭して犯行を認める藤村容疑者をすぐに逮捕できなかった。発砲事件の場合、けん銃を持って出頭するケースが大半。しかし、藤村容疑者は手ぶらで警察にやってきたのだ。

「道具(けん銃)を持たずに出頭すると、すぐに『道具はどこや』と徹底的に警察からやられます。藤村が所属していた司興業は六代目山口組の司忍組長が初代として創立した組。道具がないままだと、六代目山口組。司組長周辺にまで、家宅捜索は広い範囲に及ぶのではないでしょうか。普通は親分に迷惑をかけられないと道具を持参するのですが…」

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六代目山口組の幻の勝利宣言