前回の住民投票で反対の立場だった公明党は今回、賛成に転じた。同党元幹部がこう話す。
「公明は衆院小選挙区の8議席のうち四つが大阪府内にあり『常勝関西』と呼ぶ最重要選挙区。維新が選挙区に対立候補を出す構えを見せる中、議席を維持するために協力せざるをえなくなった」
これには、自民党から「議員バッジのために魂を売った」(大阪府連関係者)との批判が噴出し、大阪の自公協力は崩壊寸前。支持母体である創価学会の中でも動揺が広がっていたという。
「こんな時は学会員は動員されても応援演説に行かないし、投票もしない。投票所に行っても白票を入れるだけです」(前出の公明党元幹部)
公明党側にも自民党への“遠慮”があったのか、山口那津男公明党代表が大阪で演説をした時も動員はかからなかったという。しかし、その姿勢も終盤で変化した。
「世論調査で反対派が追い上げて賛成を上回ると、学会内で山口代表の演説内容が文書になって配布され、賛成に投じるように踏み込んだ指示が出たと聞いています」(前出の関西出身自民党議員)
公明党との太いパイプを誇る二階氏からしたら、見過ごせない展開だったのではないか。“遺恨”はますます深まったように見える。
維新が住民投票で敗れ、松井氏の任期満了後の引退が決まったことで、今後、菅首相の勢いにも陰りが出る可能性がある。ただ、維新をめぐり菅氏と二階氏の利害が対立する構図自体はこの先も変わらない。いつか、2人が火花を散らす時がやってくるのか──。今後も注視する必要がありあそうだ。
(本誌・西岡千史、上田耕司/今西憲之)
※週刊朝日 2020年11月13日号に加筆