2人に水面下の主導権争いが生じているようなのだ。その最前線となっていたのが、大阪都構想の住民投票だ。関西出身のある自民党議員が言う。

「両者とも表では言わないが、菅氏は日本維新の会びいきで、本音では大阪都構想に賛成。一方の二階氏の本音は反対。二階氏は前回の住民投票の時ははっきり反対していたし、今回も国会議員の集まりでは、『大阪市を廃止することに何のメリットがあるのか』と話していた」

 ある自民党幹部もこう証言する。

「菅さんは住民投票の行方が気になって、官僚や側近議員にコッソリと情勢を聞いていたそうだ。序盤に賛成派がリードしていると聞いて、『今度は決まりそうだ』とニンマリしていたそうです」

 なぜ菅氏はここまで維新の肩を持つのか。一つのヒントになるのが、菅氏のブレーン人脈だ。

 政権発足にともない、菅氏は経済政策を取りまとめる組織として成長戦略会議を新設した。委員に元金融アナリストのデービッド・アトキンソン氏や国際政治学者の三浦瑠麗氏らが名を連ねる中、竹中平蔵元金融相もメンバーに選ばれた。

「菅氏は小泉純一郎政権時代、竹中総務相の元で副大臣を務めたのがきっかけで、後任の総務相に抜擢された。菅氏にとっては『恩人』で、政策的にもかなり影響を受けています」(政界関係者)

 竹中氏と維新との関係はどうか。竹中氏についての著書があるノンフィクションライターの佐々木実氏は言う。

「竹中氏は2012年の衆院選で維新の候補者を選定する『公募委員会』の委員長でした。維新の生みの親の一人とも言えます。大胆な規制緩和を実施する新自由主義的方向性は維新と親和性があり、竹中氏が提唱する『スーパーシティ構想』にも維新は前向き。今後も菅氏と維新をつなぐ役割をしていくでしょう」

 また、内閣官房参与には元財務官僚の高橋洋一嘉悦大教授が任命された。高橋氏も維新に立ち上げ時から有識者として関わり、大阪市の特別顧問も務めていた。菅氏と維新のブレーン人脈は見事に重なり合うのである。

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「第2の菅派」維新の拡大に、二階氏は…