そして孤軍奮闘する自民党府連に「敵の敵は味方」という援軍がやってきた。立憲民主党の枝野幸男代表、同党副代表の辻元清美衆議院議員、れいわ新選組の山本太郎代表らも大阪入りし、反対を次々と訴えた。

 投開票日前日の10月31日、大阪・梅田には若者がギッシリ集まった。ハロウィーンではなく、れいわ新選組の山本代表の演説を聞く聴衆だった。

「維新がいう大阪の成長を止めるな。数字みたら大阪の成長、維新が知事、市長をとってから全国レベルでは止まったまま、いや下がっている」

 こう山本氏が訴えると大きな拍手があがった。

 一方の吉村氏は同じ日、必死でこう訴えていた。

「前回、2015年は若者の支持が多かったが、投票率が伸びなかった。ぜひ、賛成と投票をしてください」

 だが、今回も20代の若い層の投票率は低迷した。

「年配者より若者に賛成の割合が多いので、期待していた。しかし、そこが伸びなかったのが敗因の一つかもしれない」(大阪維新の市議)

 一方、自民党と国政で連立を組む公明党の大阪府本部は今回、維新と組んで賛成に回り、ねじれ現象が起こった。

 前回、2015年の住民投票で反対にまわった公明党が今回、賛成にまわったことで、可決の公算が大という見方もあった。10月18日に公明党の山口那津男代表が大阪入り。大阪維新の会の松井代表、吉村代表代行らとマイクを握り「賛成」を訴えた。公明党の国会議員はこう話す。

「表向きは大阪の公明党支援のために山口代表は現地に入った形になっている。だが、国政は自公でやっているので当然、菅首相と調整しています。10月下旬の調査で維新の劣勢が明らかになると、創価学会を動員し、賛成票を集めるべく各支部に指示を出してテコ入れをしたんだが…」

 待っていたのは、敗北という結果に…。敗因をこう分析した。

「正直、大阪の動向を読み違えていた。当初、大阪の公明党支持者の7割が前回同様に大阪都構想には反対と言っていた。山口代表が大阪に乗り込み、5割から6割は賛成にまわってくれたはず。だが、そうは言っても、投票に行かずに寝てしまった人がかなりいたようだ」(前出の公明党議員)

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維新の敗北で菅首相はピンチに