──ある行為が「差別」と呼べるか否か、どのように線引きを行うのですか。

 詳細はこれから詰める予定ですが、重視しているのは、行為自体に「合理性がある」と言えるかどうかです。現状想定している、いくつかのケースを挙げてみます。

 たとえば、感染前の行動について。コロナウイルスの潜伏期間中、多くの方は感染に気づかず百貨店・飲食店・ホテルなどを利用しています。中には感染が明らかになると、後日、事業者側が「風評被害を受けた」と謝罪と損害賠償を求めるケースもあるようです。

 民法709条では「不法行為」が定められていて、故意または過失がなければ損害賠償を請求されないとなっている。本人からしても、自分が知らないことは避けようがないわけですから、これは不合理だと考えています。

 私自身、発症する前日まで本会議に出席していたので、そのことを記事で批判的に書かれることもありました。けれど現職の国会議員で体調も普段通りならば、本会議に出ることは何らとがめられるようなことではありません。

 あるいは、タクシー業界の乗車拒否について。今、感染症対策ということでほとんどの人がマスクをしていますが、中にはしない人もいる。そのような客を運転手が拒否した場合はどうか。運転手側が身を守る権利もあるので、私個人は一定の合理性はある行為だと考えています。他の法令との関係もあり、これから詳細を詰めていく必要があります。

──今後法成立に向けて、どのように準備を進めて行かれる予定ですか。

  呼びかけ人は私を含めて6名いて、これから協力者を募っていく予定です。勉強会を通し、どのような差別の事例があるのか各省から聞き取りを行った上で今国会での成立を目指します。

 与野党が対決するような内容ではありませんので、野党のみなさんからもご指導とご理解をいただきたいと思っています。

──今回の法案に、当事者が感染の事実を公表しやすい世の中を目指すという狙いは含まれていますか。

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コロナ感染の経験はプラスになったのか?