今は全国各地で、介護についての講演をしたり、書籍の執筆や取材を受けたり、テレビに出演したりしている。

「介護の講演を始めた5年ぐらい前は、会場にはシニアの方が多かったんですが、3年ぐらい前からでしょうか、少しずつ同年代の方が増えてきました。皆さん徐々に介護のことを考え始めるのだと思います」

 会場でおニャン子時代からのファンに会うことも。あれから30年以上、ファンとともに年を取り、ファンと介護トークもする。

「皆さんと同じ時代を、同じように悩み、生きています。アイドル的な存在に見られるよりは、共に生きている、というのを感じてもらう方がうれしいんです。ファンの方とも『一緒に頑張ろうね』と。それが自分の力にもなりますから」

 新田さんの母は8月に転倒し、入院した。衰弱が進み、担当医からは「終末期を考えるように」と言われた。新田さんは覚悟をしたが、母は持ち直した。

「そのとき母は、『お父さんがここにきて、頑張れ、て言った』て。私は心の底で、それは良いことなのか、どうなのか、と思って聞いていましたが(笑)。でもやっぱりもっと頑張って生きててほしい。(父がもし天国から見ていたら)『お母さん見るの、大変だろ?』て言っているかもしれませんね」

 埼玉県に住んでいたおニャン子時代の新田さんは、午前6時に起きて県内の学校に行き、放課後は芸能活動に。遅ければ午前3時ぐらいまで仕事をこなし、それから帰宅というのが主な日課で、睡眠時間はいつも3、4時間だったという。

「とにかく眠くて、眠くて。当時は自分が何をしているのかわからない毎日でした」

 現在の新田さんは、午前7時ごろに起きて、午後11時半ごろには寝る生活という。

「今の方がアイドル時代より充実しています。満足感もあり、とても穏やかです」

 国民的アイドルのこれからの目標は、

「介護の分野で社会に貢献したい」。

(本誌・大崎百紀)

※週刊朝日オンライン限定記事