高3時には、塾でどんなに努力しても勝てない友人に出会った。そこで勉強法をまねて、スマホアプリでの暗記を実践。講師から演習問題をたくさんもらう姿を見て、自分も同じようにした。

「良いところは吸収しようと思いました。あと、自分の得意な数学だけは勝とうと思い、必死に頑張りました。自分の土俵をわきまえて、そこでは負けまいと」

 勉強が特に好きではない人もいる。東大文二に合格した大尾嘉陸仁さんはその一人だ。高3時、部活を8月までやった後に東大を目指した。勉強だけでなく、遊びも部活も両立する意識を持ってきた。

 勉強法は効率的だ。長くても3時間まで。集中力が切れたら、散歩や昼寝でリフレッシュ。入試直前には自信のある英語と数学はあまり勉強せず、苦手な古典と社会に時間を費やしたという。

「勉強の計画は立てず、その日の気分で『日本史をやりたい』と思えば、それを集中してやりました。苦手科目は模試の結果から自分の実力がわかっていたので、合格者平均まで高めようと考えました。最低限の点数を取って合格したと思います」

 大尾嘉さんは、こうも言う。

「高校受験で勉強の勘所をつかみました」

 中学は公立校で野球に打ち込み、勉強の成績は平均より少し上。しかし、引退後、夏休みは1日12時間以上、2学期以降も夜10時まで勉強した。

「塾にとても熱く厳しい先生がいました。成績が伸びたとき、面談室で『やったな』と握手され、もっと実力を伸ばしたいと思いました。そのときの猛勉強のおかげで、力の入れどころ抜きどころ、自分の勉強法がわかったんです」

(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年11月6日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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