東大本郷キャンパス安田講堂 (c)朝日新聞社
東大本郷キャンパス安田講堂 (c)朝日新聞社
早稲田アカデミー「東大必勝コース」古居美香講師(早稲田アカデミー提供)
早稲田アカデミー「東大必勝コース」古居美香講師(早稲田アカデミー提供)

 どうすれば東大に合格できるようになれるのか──。一番大切なのは「学びへの意欲」を持つことだ。求められる知識の量や思考力は一朝一夕には身につかない。学びのきっかけを早くつかめば合格も近づく。高い東大合格率を誇る早稲田アカデミーの協力の下、合格者の特徴や学びの原体験を探った。

【写真】早稲田アカデミー「東大必勝コース」の古居美香講師

*  *  *

「テスト何点だった?」
「俺は90点。お前は?」
「負けた!」

 早稲田アカデミーで、東大を目指す高校生が集まるクラスでの一コマだ。テスト返却のたびにこんな光景が見られる。「東大必勝コース」副責任者の古居美香さんは言う。

「テストの結果を言いたくない生徒は多いのですが、東大を目指す層でそうした生徒は少ない。逆に楽しそうに話します。点数が低いことで劣等感を抱くのではなく、『お前すごいな、俺も頑張ろう』と考える生徒が多い。勉強から楽しみを見いだすのが得意です」

 受験テクニックも重要だが、より本質的に大切なのは学びへの意欲だ。

「東大に合格する人の共通点は、自分から幅広く学ぶこと。東大入試に求められる思考力の基礎があります。こうした生徒は、私立の中高一貫校に通っていなくても、合格するチャンスは十分にあります」(古居さん)

 東大合格者の学びのきっかけはどういったものなのか。今年、東大理科二類(理二)に合格した西村有紗さんはこう話す。

「勉強が楽しくて、小4のころには勉強の習慣ができていました」

 教材を買って自分でまとめのノートを作り、暗記した。テストでも良い成績が出て、さらに勉強するサイクルができた。母親はこう振り返る。

「幼いころから机に向かう習慣がありました」

 幼稚園のころから迷路や線つなぎといった教材に関心を持ち、机に向かって取り組んでいた。

「一度やり方を教えたら、何も言わずに自由にやらせました。口を出しても怒るだけですから(笑)。運動はあまり好きではなく、無理して公園に連れていくことはしませんでした。やりたいことが勉強だったのは大きいです」

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
次のページ