「恋愛もののエキスパートである柴門ふみの漫画が原作ですから、期待が膨らみます。昨今、不倫への風当たりが強いなか、堅い倫理観を取り払った母たちの、女としての姿が描かれるでしょう。ひそかに夫や妻にうんざりしている人たちの心を掴みそうです」(吉田さん)

「逃げ恥」や「恋つづ」など話題作が頻出する火曜夜10時枠では「この恋あたためますか」(TBS系)が始まった。コンビニのアルバイト店員である井上樹木(森七菜)が勤務先の社長(中村倫也)と出会い運命が切り開かれていくラブストーリー。

「注目は19歳で主役に抜擢された森七菜。NHKの連続テレビ小説『エール』で二階堂ふみの妹役として出演しているところをTBSがいち早く目を付けた。豊かな表現力と存在感は新人離れしており、大げさに言うと、これから森七菜時代が来ると思います」(碓井さん)

 同名の漫画が原作の「極主夫道」(日本テレビ系)は、「不死身の龍」と呼ばれた龍(玉木宏)が、極道から足を洗い専業主夫になるヒューマンコメディー。

「見た目は極道、中身は主夫という玉木宏のキャラクターのギャップがおもしろい。何分かに一度笑えるので、週末の夜にリラックスしたい人におすすめです」(碓井さん)

「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」(日本テレビ系)は、ドSで完ぺき主義な産業医(波瑠)が孤独を意識しはじめ、恋愛をしようと試みる物語。コロナ禍の現代を舞台にしたことも注目される。

「隙がないヒロイン役の波瑠が、コロナ禍で少しずつ人恋しくなり、SNSで出会った人に恋をする。相手役が松下洸平と判明したものの、この恋心がどう決着するのか気になります」(吉田さん)

 芸能界のリアルを描いた「共演NG」(テレビ東京系)は、中井貴一主演のラブコメ。企画・原作が秋元康の異色作だ。

「昔付き合った芸能人同士がその後別れて共演NGという、業界で本当にある話をネタにした。『モテキ』や『まほろ駅前番外地』を手がけた大根仁が脚本・監督ですから、わかる人にはわかるマニアックなシーンを入れてくるはず。見ごたえある作品になるでしょう」(碓井さん)

 深夜枠にはBLファンの心をくすぐる熱いドラマが。「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(テレビ東京系)。タイトルどおり童貞のまま30歳を迎えた主人公・安達(赤楚衛二)が「触れた人の心が読める」という魔法を手に入れ、同期のイケメン(町田啓太)から好意を持たれていることを知ってしまうというBLファンタジーだ。

「安達は、女の子が好きなのに、でも同期のイケメンから恋心を抱かれていて、人間としてはいい人だからどうしようという、逡巡が描かれています」(吉田さん)

 11月には、人気作「監察医 朝顔」(フジテレビ系)の第2シリーズも始まる。個性派ぞろいの秋ドラマから、自分好みの一作を見つけよう。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2020年11月6日号