映画「感謝離 ずっと一緒に」で尾藤イサオさんとのダブル主演を務めた中尾ミエさん。70歳を過ぎた今、「開き直れた」という年齢への考え方とは。
【前編/取柄は「若さ」と答えて先輩に叱られた頃…中尾ミエが振り返る】より続く
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2009年4月からは、MXテレビの生放送のニュースバラエティー「5時に夢中!」でもコメンテーターとして活躍している。誰もがSNSで自分の意見や感想を発信できる時代に、コメンテーターとしてずばり物事の核心を突いていくことには、意外とリスクも伴うのではないだろうか。
「私はいいんです、別にどう思われても(笑)。人間誰しも、万人に愛されることは不可能なわけだし、『好かれよう』と思わなければ、何言ったって“気楽”です。意見なんて十人十色なのが当たり前だから、“自分に正直である自分”が一番信頼できますよね。それに、褒められると私、逆に、不安になるんです。自分のいい部分なんて言われなくてもわかってるし、それより、ダメなところを指摘してくれるほうが、『ああ、有り難いな』と思いますね」
その肩の力の抜けた生き方は、もはや“中尾ミエさんの気楽道”とでも呼びたくなるほど。自分の年齢についても、「いくつだから何をしようという意識は全然ないです」とキッパリ言う。
「私の若い頃は、洋服ひとつとっても、大人が若い世代に、『いい年してそんなカッコして恥ずかしい』みたいな文句をやたらとつけてくる時代でした。でも、私は、若い世代に対してそんなこと全然思わない。今は多様性の時代だから、『何歳だからこうあるべき』というおかしなルールも減ってきているし、いい時代だと思います。ましてや私たちがこの年で、こんなに仕事ができる環境なんだから! 普通ならお役御免で、姥捨山の年齢なのに、ですよ(笑)」