「酪酸は小腸や大腸のエネルギー源になる物質で、腸内環境を整えてくれます。腸の病気の改善に役立ったり、アレルギーや肥満を抑制したりする効果があります」

 ちなみに便秘予防というと、「朝起きたらコップ1杯の水を飲む」という方法が有名だが、意外にも松生医師はこの方法を勧めてはいない。

「実は、飲んだ水の多くは小腸で再吸収されてしまい、大腸に届くのは1割ぐらいです。水を飲めば胃が刺激されて腸が動き出す“胃結腸反射”が起こるので便通の改善が見込めますが、便の状態をよくする効果は期待できません」

 たかが便秘と侮るなかれ。お通じがない日が続くと直腸に便がたまってカチカチに固まる。そうなると肛門(こうもん)に激痛が走り、歩くこともままならなくなる。そうなれば、もう病院で治療するしかない。生理食塩水を肛門から勢いよく入れる高圧浣腸(かんちょう)をするが、それでも効果がなければ、指で便をかき出す摘便が必要になるケースもある。

「季節性の便秘が、慢性便秘のきっかけになることもあります。便秘は生活習慣の改善で予防や解消が可能な病気の一つです。果物を取るだけですから、無理なく続けられます。気になったらすぐに取り組んでほしい」
(本誌・山内リカ)

*週刊朝日オンライン限定記事