特に、市販薬にも多い、アントラキノン系という下剤を乱用すると、腸内神経叢を構成する腸内神経の数が減ることがわかっています。適切な使い方と用量を守ることが大切です」(松生医師)

 では、季節性便秘を解消、予防するにはどうしたらいいか。

 松生医師は、体の中と外からのアプローチについて説明する。

 体の外からのアプローチで心がけたいのは、「腸を温めること」。お薦めは腹巻きだという。また気温が低くなる朝や夜は上に1枚羽織るなど、体全体を冷やさない工夫も必要。入浴も腸を温めるには効果的で、38度ぐらいのぬるめの湯にゆっくりつかるのがポイントだ。

 一方、体の中からのアプローチ「は、「水溶性食物繊維をとること」。季節性便秘とは一見関係なさそうに思えるが、水溶性食物繊維は大腸にしっかり水分を引き込み、低下した大腸の働きを高める。便も軟らかくなってスルッと出るので、気持ちのよいお通じがつく。

 食物繊維には水に溶ける「水溶性」と、溶けない「不溶性」がある。腸の働きが落ちている人の便秘を解消するには、水溶性食物繊維がベスト。松生医師が勧めるのは果物で、これからの季節、手軽に食べられるキウイフルーツやイチゴなどがよいという。

「キウイなら1個、イチゴなら5、6個。そこに古くから便秘解消効果が知られているオリーブオイル、できればエキストラ・バージン・オイルをかける。これを朝食として取ってください」

 キウイフルーツの便通効果に関しては、松生医師はこんな実験を行っている。約500組の便秘気味の親子に、1日1個のキウイフルーツを2週間にわたって食べてもらったところ、68・2%の人でお通じの改善が見られたという。

「果物がといいというと、血糖値は大丈夫なのかという質問をよくいただきます。結論を申しますと、食物繊維が豊富な果物は食後血糖値が上がりにくいことが分かっています」

 水溶性食物繊維は酪酸という物質を増やすため、別の意味でも腸の健康を高めるという。

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放っておくと危険 指でかき出す摘便も