便秘対策に効くというキウイフルーツ/(c)朝日新聞
便秘対策に効くというキウイフルーツ/(c)朝日新聞

 昼夜の寒暖の差が大きくなってきた今日この頃。「最近、お通じの調子が悪いかも」と感じている人は、気温の変化に気を付けたほうがいいかもしれない。秋から冬にかけての気温差が便秘の要因になる“季節性便秘”の可能性があるというのだ。

「今の季節は、暖かくなったと思ったら翌日は冬のように寒かったり、朝晩と昼との気温差が大きかったり。こうした差は腸の働きを悪くして、排便力を低下させます。便秘気味の人の症状が悪化するだけでなく、便秘のない人が便秘になることもあります」

 こう話すのは腸の病気に詳しい、松生(まついけ)クリニック=東京都立川市=院長の松生恒夫医師。

 特に気温差が10度以上になると大腸の動きが一気に悪くなることから、これを“10度の法則”と名付け、注意を促す。実際、同クリニックもこの時期に便秘を訴える患者が「ドッと増える」という。

 ところで、なぜ気温差が便秘に関係するのだろうか。松生医師は二つの理由を挙げる。

「一つは自律神経の乱れです。自律神経とは無意識のなかで体を調整する神経のことで、交感神経と副交感神経があります。気温が一気に下がると私たちの体は体温を上げようと緊張モードに入り、交感神経が優位になります。交感神経は大腸の動きを抑えるように働くため、排便力が落ちてしまうのです」

 もう一つは血流の低下。気温が下がると体が冷えて血管が収縮する。大腸に行く血液量が減るため、腸の働きが悪くなる。冷えが腸の働きを悪くする仕組みに大きく関わっているのが、第2の脳とも呼ばれる腸内神経叢(そう)の存在だ。

「腸内神経叢は約1億個の神経が集まったものです。腸壁のなかでネットワークを築いていて、大腸にモノが入ってくると連動して蠕動(ぜんどう)運動を起こすよう司令を出します」

 大腸の血流が悪くなると腸内神経叢の働きがにぶるため、蠕動運動が起こりにくくなる。それが排便力の低下につながるのだという。

 その際、便が出ないからといって安易に便秘薬に頼るのは、腸内細菌叢を減らす原因にもなるので、できるだけ控えた方がよさそうだ。

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