「ネット環境がない事業者には紙での申請も受け付けている。対面の説明会も開催しているので、積極的に参加していただきたい」(観光庁担当者)

 一方、東京都は24日(予約は23日)から、都在住者が都内を旅行する場合に1泊5千円(日帰りは1回2500円)を助成する事業を始める。「Go To トラベル」との併用も可能だ。上手に活用したい。

■足腰の弱った親と一緒に

 高齢もしくは体が不自由な家族を安心して連れていける温泉地が日本各地に増えている。代表格が佐賀・嬉野温泉だ。

 2007年に「佐賀嬉野バリアフリーツアーセンター」を開設。全体で30軒ほどの温泉宿のうち、半分(15軒)と連携。事前に連絡を入れると、旅の目的や体の状態に合った宿を紹介してくれる。独力の入浴が難しい場合は、介助ヘルパーを宿に派遣するサービスも実施。高齢者を中心とした相談件数は07年の45件から、19年には263件まで増えた。15年度には国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰を受けた。

 同センター会長の小原健史さんは、現地の温泉旅館「和多屋別荘」の経営者。センター開設時は県からの補助金も受けたが、「ここまで取り組みを主導したのは、われわれ旅館側の知恵と努力」と胸を張る。

 バリアフリーツアーセンターや同様の施設は仙台、石川、広島など全国各地にあり、仙台ではホテル海風土(松島温泉)、湯あみの宿ぬまくら(鳴子温泉)、石川では旅館赤穂谷温泉(粟津温泉)、旅館あえの風(和倉温泉)、広島では国民宿舎・湯来ロッジ(湯来温泉)といった宿と連携し、旅行者の相談に応じている。

『行ってみようよ!親孝行温泉』(昭文社)などの著書を持つ、跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学)の山崎まゆみさんからは群馬・草津温泉の草津スカイランドホテルの名が挙がった。

「湯畑の奥にあり、木立に囲まれ、森の中にいるかのような感覚が味わえます。お薦めは檜(ひのき)づくりの貸し切り風呂ですね」

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