売るに売れない親の家…「空き家」を守る3つの基本 (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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売るに売れない親の家…「空き家」を守る3つの基本

大崎百紀週刊朝日
2016年に東京都内で起きた空き家の火災の様子  (c)朝日新聞社

2016年に東京都内で起きた空き家の火災の様子  (c)朝日新聞社

「空き家に見せない3つの秘策」 (週刊朝日2020年10月23日号より)

「空き家に見せない3つの秘策」 (週刊朝日2020年10月23日号より)

「空き家を守る3つの基本」 (週刊朝日2020年10月23日号より)

「空き家を守る3つの基本」 (週刊朝日2020年10月23日号より)

 問題の「空き家」は、東京都内にある木造平屋住宅。登記簿謄本に築年数は記されておらず、最後の記録が1973年。ゆうに築50年は超えるだろう。相談に来た所有者の男性は山梨県在住。高齢の母親が施設に入ったことで物件が空き家になった後も、敷地内の木が伸びればハシゴを使って剪定するなどしっかり管理をし、近隣住民との関係もよかった。土地にも愛着があり、手放したくなかったそうだ。取り壊してアパートを建てることも考えたが、建物は本人名義でも土地は母親名義であることから、今後相続でもめる可能性があると断念した。

 この相談を機に生まれ、現在も続いているのが同センターの「AKARI」(あかり)というサービス。空き家を投資事業者が借り上げてリフォームを行い、他の人にサブリースするもので、所有者には年に1回家賃収入があるが、その金額が固定資産税などの毎年の税額と同額で、相殺される。利益は得られないが、リフォーム代や維持費などの負担もなく、借り主との煩わしいやり取りもない。

 定期借家契約(延長ができない賃貸契約)なので3~7年後には契約が終了。貸し出す前よりキレイな状態で戻ってくる。上田さんが言う。

「売るにしても壊すにしても、罪悪感が付きまとうのが空き家の特徴。心の整理をする時間が必要です。このサービスを利用すれば、一定期間、家の処分の結論を先延ばしできるのがアピールポイントです」

 趣のあるこの平屋物件で今暮らしているのは40代のウェブデザイナーの女性。夫婦で賃貸中で、家賃は20万円だ。

「初めて見たときは古い印象でしたが、水回りなどは今風にリフォームされてキレイで、広い縁側が素敵。庭も広くて一目で気に入りました。冬は寒いけれど、なかなかこんなに良い物件はない。私たちは恵まれていたと思います」

 いずれ退去の日はやってくるが、「買い取りたいぐらい気に入っているんです」と言う。

 総務省の住宅・土地統計調査によれば、空き家の総数は全国で849万戸あり、この20年で1.5倍に増えた。上田さんのところにも空き家の管理に悩む人からの相談が増えていて、今年の相談数は前年比3倍だという。コロナ禍の影響で、空き家の管理をしに田舎に帰ろうにも周囲の目が気になって帰れないなどの悩みが多いという。

 そもそも空き家にしておくと何が問題なのか。すぐ思い浮かぶのは空き巣や放火の恐れだろう。他にもゴミが放置されることもあれば、害虫が増えたり、ネズミやハクビシンなどがすみ着いたりすることも。通気も換気もせずにいれば湿気がたまり、建物の老朽化が進む。水も流さなければ排水管から異臭が上がる。さらに怖いのは雨漏りだ。


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